【医師の報酬を欧米並みに高額にするべし】

「高額報酬が当たり前となった企業トップ」

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世の中を震撼させた小林製薬の小林一雅会長が、会長職と取締役は辞す一方で特別顧問に就くと言う。自社製品の愛用者に死者まで出した企業は責任を放棄したに等しい。まさにジョークだ。こんな会社が健康食品を製造・販売している事に驚く。有価証券報告書（年間1億円以上の報酬は記載が義務付け）を見ると会長の報酬は3億2千万円と高額だ。日本調剤の社長の報酬が6億円を超した時には医療界に波紋が広がった。武田薬品工業のクリストフ・ウエバー氏の報酬が10億円超となり話題となった。企業のトップだけがそんな高額報酬を取って、社員からの反発や社員のモチベーションは保てるのか？ 大丈夫なのか？ と危惧されたのが、僅か10年前の話だ。今は真逆で、社員らは「高額報酬を獲れるトップを目差せ」となっていると聞く。

驚く事に、今、日本の上場会社のトップの報酬平均は2億8千万円になっていた。今、円安や株高、好調な業績などの理由があるものの、以前では考えられない程の高額報酬が当たり前になった。製薬会社だけを見ても、トップの報酬が1億円を超える企業が40社を超える。

翻って、医学医療界の医師等の報酬はどうなのか？ 偏差値最高峰の医学部を卒業したエリートである医師。国公立の大学医学部教授の報酬を調べて見ると、大学別教授の平均年収で最も高額なのは東京大学の1,193万円だ。また医師の報酬を調べた或るアンケート調査では、1,400万円から1,800万円が最も多く、3,000万円以上は僅かに5.8％だった。

かつての国家公務員は現役時には薄給だが、生涯収入となると高額な賃金が得られていた。激務ではあるが、仕事のやり甲斐と生涯収入の多さから学生に人気があった。他の業種の報酬が遙かに高額だとなれば、彼らの目は国家公務員から報酬の良い業種へ流れて行く。二流の政治家を一流の役人が支えていると言われた永田町・霞ヶ関の構図は過去のものになるかも知れない。偏差値が高い高校生の医学部志望離れはより心配だ。日本の医療の質の担保が出来るのか？ その解決策の一つとして、医師の平均報酬を欧米並みの高額にする必要がある。財務省の医療政策は医療費削減に動いているが、高額報酬が可能になる政策を考えた。その一例が海外では当たり前の「寄附」だ。日本のふるさと納税は大いに参考になる。納税の言葉を使っているが、実際は、個人から都道府県や市区町村への「寄附」と言える。過去、地方の市区町村では税収が低く、国からの補助金に頼るしか策は無かったが、ふるさと納税で一気に税収増の市区町村が生まれている。逆に世田谷区などは56億円の税収減（20年度）が生じ、悲鳴を上げた。日本の交通事故件数は増加の一途だが、死亡者数は減少し続ける。この理由は明確だ。救急医療が高度化しているからだ。自動車事故の死亡者数が企業に与えるダメージは計り知れない。救急医療のお陰でトヨタや日産はどれだけ助けられているか？ 企業イメージは株価に大きな影響を及ぼす。今年3月に、トヨタは日本企業として初の時価総額60兆円超とした。企業トップにとり、株価は自身のポストを守ってくれる大きな後ろ盾だ。面白いことに、この株価は業績だけでなく、様々な観点から作り上げられる。その視点から見ると救急医療の存在は数百億円、いや数千億円の価値があると言えるのではないか？ 交通事故件数が増加する今、当然ながら救急医療は逼迫する。そこで自動車メーカーやオートバイメーカーは、法人税を支払う代わりに救急医療学会や救急医療に熱心に取り組む医療法人へ寄附をする。ふるさと納税の仕組みを活用すれば良いだけの話だ。この財源を医師の報酬に振り分ける。医師の働き方改革で医師は労働者となった。労働者であれば、高給を要求しても決して批判はない。日本の医師の報酬は世界トップだと言われる日が来る事を期待する。

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