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未来の会

抗加齢分野の「ヘルスケアベンチャー大賞」

抗加齢分野の「ヘルスケアベンチャー大賞」
大賞は化粧品材料開発、学会賞は認知症診断法

日本抗加齢医学会と日本抗加齢協会は「医学会からイノベーションを」を掲げ、「ヘルスケアベンチャー大賞」を昨年9月に創設、アンチエイジングに関するヘルスケア分野のビジネスプランを募集していたが、6月14日、横浜市で開かれた第19回日本抗加齢医学会総会で第1回ヘルスケアベンチャー大賞の最終審査と授賞式を行った。

 応募数は26件で、事前選考を経てファイナリストに選ばれた企業3社と個人3人が会場で最終のプレゼンテーションを行った。具体的なビジネスプランは以下の通り。

 アンチエイジングペプタイド株式会社(大阪府)の「機能性ショートペプチドによる化粧品材料の開発」。同社は大阪大学における科学技術振興機構(JST)大学発新産業創出プログラムの第1号ベンチャーで、2016年に設立。ヒアルロン酸やコラーゲンの産生を促すペプチドをコストダウンのため極限まで短いアミノ酸で実現、化粧品として製品化を目指す。

 株式会社イグニス(東京都)の「バーチャルリアリティー(VR)を利用した慢性疼痛の緩和コンテンツの開発」。海外では雪国をVRで再現し、やけどの痛みを軽くする考えが広がっているという。同様の仕組みを日本でも構築しようとしている。

 株式会社レストアビジョン(東京都)の「加齢によって進行する網膜色素変性症の遺伝子治療薬開発」。網膜色素変性症は、日本では成人視覚障害の原因としては2位。人間が本来持つ動物型ロドプシンと微生物型ロドプシンの両方の特徴を持つキメラロドプシンを応用。目への注射により、残存細胞にタンパク質を作らせて視覚の再生を促す。

 眼科医・小橋英長氏の「緑内障患者が自己測定可能な簡易型眼圧計(医療機器)の開発」。センサーと開発したアルゴリズムで、緑内障の眼圧を自己測定できる簡易型眼圧計を開発。

 大阪大学大学院准教授・武田朱公氏の「スマート端末の顔認証機能を利用した認知機能の簡易スクリーニング法開発」。目の動きをモニターし、認知機能をスコア化。従来の「長谷川式」の認知症診断技術では、質問に答えることで認知機能を測定する。それを画面に映るパターン認識とAI解析でスコア化した。質問法の約20分に対し、2分30秒で済む。運転免許センターなどへの導入も考えられる他、グローバル展開も視野に入れている。

 慶應義塾大学医学部学生・藤澤昌司氏の「認知症予防につながる嗅覚機能の回復機器を開発」。アロマテラピーを応用して嗅覚を刺激、認知機能を改善させる。

 最終審査を経て、企業から選ばれる大賞(賞金100万円)にはアンチエイジングペプタイドが、個人から選ばれる学芸賞(同30万円)には武田朱公氏が選ばれた。両賞とも副賞として様々な企業支援サービスを受けられる。

 総評として、順天堂大学教授の堀江重郎氏が「いずれも素晴らしい案だったが、実用化されつつある点でアンチエイジングペプタイドは一歩勝り、認知症診断の武田朱公氏のプランは抜きん出ていた」と述べた。

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