医療者と患者が共に創る医療とケア
188 河北ファミリークリニック南阿佐谷(東京都杉並区)
住環境や交通の利便性、教育・文化環境などが評価され、「本当に住みたい街大賞2017」で1位となった東京・南阿佐谷。今年3月にオープンした河北ファミリークリニック南阿佐谷は、丸ノ内線南阿佐ケ谷駅前の杉並区役所並びのビルにあり、交通の利便性は極めて良い。
経営母体は、杉並区と多摩・稲城両市で医療・介護・福祉施設を展開する社会医療法人河北医療財団(河北博文理事長)だ。同財団は「地域完結型ケア」を目指し、2006年に東京・杉並家庭医療学センターを発足させた。同センターは同年、本拠地である河北総合病院の近くにある河北サテライトクリニックに内科を開設、外来診療と在宅医療を始めるとともに、家庭医・総合診療医の教育機関としても機能してきた。
14年に河北家庭医療学センターに改称。同センターは診療・看護・相談支援活動を通じて、「地域住民が主体的に参加し、医療者と共に創っていく医療とケア」の実践を目指しており、コンセプトに沿った施設として河北ファミリークリニック南阿佐谷を開院することになった。
ビルの3〜5階がクリニック、6階が河北訪問看護・リハビリステーション阿佐谷と事務所、7階が河北訪問看護・リハビリステーション阿佐谷の相談室、8Fにコミュニティ広場・貸しスペースの「暮らしの処方箋」が入っている。
クリニックの特徴として、センター長でもある一戸由美子院長は「医師は家庭医療専門医の資格を持っているので、小児から高齢者まで幅広い疾患を診ることができます。外来に来ることができなくなった患者さんに対しても、在宅で診ています」と話す。
クリニックではあえて医局は作らず、6階の事務所をクリニックと訪問看護・リハビリステーションのスタッフが共同で使っている。「顔の見える関係が築け、医師、看護師、セラピスト、事務職といった多職種でうまく連携が取れています。皆ですぐにミニカンファレンスができるのも強みです」と一戸院長。
8Fに貸しスペースを設けているのもユニークだ。健康に関わる活動をしている団体やボランティアなどを支援するため、有料でスペースを貸しているという。一戸院長は「患者さんは医師の言うことを聞くだけ、医師は医療を患者さんに与えるだけではなく、患者さんが自分で意思決定して積極的に医療に参画してほしい」と話す。
188_河北ファミリークリニック南阿佐谷
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