「ウェブ診断」は医療機器?
厚労省の空騒ぎ
「あなたが3年以内に糖尿病を発症するリスクは○%で、同年代の平均より○%高いです」
ウェブサイトでそんな結果が示されたとする。同年代の平均よりリスクが高いと出れば生活習慣を改善するかもしれないし、逆であればほっと一安心というところか。
こんな「ウェブ診断」を巡り、厚生労働省が「診断行為に関わり医薬品医療機器等法に触れる可能性がある」として公開中止を求めていたことが分かった。2カ月後には「問題ない」と結論付けたが、関係者からは「何が診断で何が医療機器なのか、線引きをはっきり示してほしい」と厚労省の対応を批判する声が上がっている。
問題となったのは、国立国際医療研究センター(東京)が民間企業と共同で開発し、2018年10月に公開した糖尿病のリスク予測ツール。糖尿病と診断されたことのない30歳から59歳を対象に、体重や血圧、血液検査結果や喫煙習慣などの健康診断結果を入力してもらうと、労働者3万人の健康診断データを基に、AI(人工知能)の学習機能を利用して3年以内の糖尿病の発症リスクが示される。いわば統計データを利用して発症リスクを予測し、生活習慣の改善に繋げてもらう狙いなのだが、公開直後に厚労省から横やりが入った。
「厚労省は、健診結果から個人の糖尿病発症リスクを評価して本人に伝えることは診断行為に当たる可能性があり、予測ツールも医療機器に該当する可能性がある、と主張した。ただ、ウェブ上で健康リスクを判断するツールは従来からあり、なぜ突然、待ったがかかったのかは不明瞭だ」と全国紙記者は首をひねる。
結局、厚労省は「予測は単に統計データに基づくもので診断行為には当たらず、医療機器にも当たらない」と判断したが、そんなことは初めから分かっていた話。診断ツールは12月から再開されたが、厚労省の空騒ぎに関係者の方が病気になってしまいそうな2カ月を送った。
流行期到来、
インフル新治療薬の効果のほどは?
今冬もインフルエンザが流行している。昨冬はワクチンが足りないなどのトラブルがあったが、今年は塩野義製薬から新治療薬「ゾフルーザ」が登場。タミフルやリレンザなどの従来の治療薬とは違うメカニズムで効き、何より1回の服用で済む簡便さから話題を集めている。
「ゾフルーザ、すごいです。よく効いてすぐ熱が下がりました」。都内に住む40代の女性会社員は18年末、インフルエンザと診断され新薬を処方された。予防接種を受けても毎年のように罹患してしまうというが、「つらいのは熱なので、それが下がったのは有り難かった」と語る。
ただ、新薬特有の不安もある。都内の内科医は「結局因果関係はないと結論付けられたが、タミフルのように発売されて間もなく飛び降りなどの異常行動が報告されて使用が制限される薬もある。新薬には市場に薬が出てから初めて知られる副作用があり、注意が必要だ」と語る。
さらに別の医師は「A型インフルでゾフルーザを使うと、耐性ウイルスが出やすいと言われている。B型では少ないので、便利な薬だといってA型インフルにたくさん使うと耐性ウイルスの増加に繋がりかねない」と警鐘を鳴らす。
前出の内科医は「治療薬の効果は熱発の日数を多少減らす程度。健康な成人であればインフルはそんなに心配ないので、薬に頼らずゆっくり休養することを心掛けてほしい」と話している。
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