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第129回 薬局の選別・淘汰策は従来方針との〝つじつま合わせ〟?

第129回 薬局の選別・淘汰策は従来方針との〝つじつま合わせ〟?

 厚生労働省は薬局の機能を三つに区分する制度改正を打ち出した。基本的な薬局、かかりつけ薬局という従来の仕組みに、「高度薬学管理型薬局」を加えた三つだ。

 「高度型」について厚労省は「医療上の高い専門知識を有する薬局」と位置付けているが、同省の意向を無視する形で増えている病院の敷地内薬局の追認に繋がる、との指摘も出ている。

 医師の処方に基づいて医薬品を出す調剤薬局は約5万9000店。厚労省は院内処方による医師の過剰処方を防ぐ狙いで「医薬分業」を謳い、さらに近年は「かかりつけ薬局」推進の旗を振っている。それでも調剤薬局の半数以上は、病院のそばにあって特定の医療機関の処方箋だけを扱う「門前薬局」だ。同省が求める患者への継続的な服薬指導も、全体の4割ほどしか手掛けていない。

 「門前」から「かかりつけ」へ——。厚労省は2015年には「患者のための薬局ビジョン」で方向を明確にした。にもかかわらず、その前後から病院の建物内ではなく、空きスペースに設置する「敷地内薬局」が増え始めた。

 日本薬剤師会(日薬)によると、敷地内薬局は現在、全国64医療機関に達する。敷地内に薬局を誘致したのは、東京大学医学部附属病院や千葉大学医学部附属病院など、公的で高い医療水準の病院も多い。

 「敷地内であって、院内ではない」との理屈だが、日薬は「医薬分業を推進する国の方針に逆行している」と反発、厚労省にも指導するよう申し入れている。

 しかし、各病院は収益重視で聞く耳持たぬ風情。厚労省は苦い顔をしながらも、制度の間隙を突いた形の病院側に強く言えず、ガバナンスが問われる状況が続いている。

 院内処方を減らすべく、院外処方の診療報酬を手厚くしてきたことが、門前薬局の隆盛に繋がった。このため、最近は門前薬局の報酬を減額してきたものの、効果はいま一つ。そこで、次に厚労省が手を付けたのが、医薬品医療機器法の改正だ。2019年の通常国会に提出する改正案では、かかりつけ機能を持つ「地域密着型」と、抗がん剤の副作用などを的確に伝えられる「高度薬学管理型」の二種類の薬局を法的に位置付ける。要件を満たす薬局は報酬を増やす半面、従来型の薬局は報酬を減らし、淘汰させることを狙っている。

 「高度型」について、厚労省幹部は「(家族経営型の)パパママ薬局と違う、高度な医療知識を持つ薬局は不可欠」と言い、医療機関と密に連携することを高度型の要件に挙げる。 

 ただ、そうなると、敷地内薬局は有力候補となる。高度な医療を手掛ける大病院の処方箋を扱う機会が多いからだ。敷地内薬局を容認する方針に転じるのか、との問いに厚労省幹部は「それとこれは別」と言葉を濁すが、日薬関係者は「必然的に敷地内薬局は生き残りを図り、高度型を目指すだろう。厚労省が従来方針と矛盾しないよう、つじつま合わせをしているようにも映る」と漏らす。

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