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未来の会

第14回 厚労部会長に「将来の首相」と目される小泉進次郎氏

第14回 厚労部会長に「将来の首相」と目される小泉進次郎氏

 9月の自民党総裁選に伴う内閣改造・自民党人事で、小泉進次郎・衆議院議員が厚生労働部会長に就任した。これまで小泉氏は「こども保険」構想を打ち上げるなど、社会保障制度に関する政策提言を行ってきたが、厚労行政に直接的な影響力を持つポストに就任するのは初めてだ。このため、厚労省内からは「今のうちにパイプを築いて厚労行政を深く知ってもらえるチャンスだ」との声が上がる一方、「何を仕掛けてくるのか分からない」との警戒感も広がる。

 小泉氏は横須賀市などを地盤とする衆院神奈川11区選出で、当選4回の37歳。復興大臣政務官や農林部会長、筆頭副幹事長を歴任した。そのルックスや歯切れの良い言い回しで、将来を期待される政治家の一人。「ポスト安倍」を問う大手紙の世論調査では石破茂・元幹事長らを抑えトップだ。安倍晋三首相嫌いで知られ、小泉氏は総裁選後、「総裁選で人の名前を書くのはこれで最後だ」と意欲を示したという。

 今回の人事では厚労部会長のみを希望した。自らのフェイスブックには「社会の安定と一人一人の安定や挑戦の支えになる社会保障の基盤をつくりたい。一部の声を代弁したり、一部の利益を優先することなく、国民全体の利益を実現する」と決意を述べた。

 小泉氏の周囲によると、「厚労行政には以前から関心を示していた」。2016年には20年以降の経済財政構想小委の事務局長として、「レールからの解放」を謳い、人生100年時代を見据えた社会保障改革の必要性を訴えた。年金保険料に上乗せし、児童手当を増額する「こども保険」構想を打ち出し、「幼児教育保育の無償化」に一部が反映された経緯もある。小泉氏に近いある関係者は「父・純一郎氏が厚相を務めたことも影響しているが、本人も首相を目指す上で社会保障分野の政策決定過程を学ぶ必要性を感じていた」と明かす。

 10月22日には障害者雇用の水増し問題を巡る部会でデビューした。業界団体に挨拶回りをするなど精力的に動き、社会保障分野での情報発信を見直すプロジェクトチームを立ち上げようとするなど、早速、独自色を発揮しようとしている。ただ、自らに近い村井英樹・衆院議員を部会長代理に就けようとしたところ、党政調幹部に反対されて頓挫するなど、「何でも思い通りにはさせない方針」(厚労族議員)だという。

 これまで厚労省内では、小泉氏にパイプを持つ職員は乏しかった。小泉氏の政策ブレーンの中には、総務省や農水省の役人が入っているとされているのとは対照的。あえて挙げるなら、小泉純一郎元首相の書生時代から木下賢志・年金局長が知己を得ているぐらい。省内の反応は様々で、省中堅からは「今のうちに小泉氏とパイプを持っておきたい」との声が上がったり、若手女性官僚の間では「レクなどで早くお目にかかってみたい」というアイドルさながらの人気を博したりしている。

 省内には「秩序が崩されるのではないか」という警戒感も窺える。ただ、来年夏の参院選まで、大きな制度改正は予定されていない。参院選後には再び内閣改造・党人事が断行される見込みだ。小泉氏がこのタイミングで厚労部会長に就任したのは、「今なら大したことはできないだろう」(大手紙記者)という「読み」も影響してそうだ。

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