SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

板倉病院(千葉県船橋市)

板倉病院(千葉県船橋市)
地域全体を大きな病院として造る
183 板倉病院(千葉県船橋市)

一世を風靡したゆるキャラ「ふなっしー」の出身地、千葉県船橋市。人口約64万人の同市は、五つのサブ医療圏に分かれている。1940年開設と船橋で最も歴史のある医療法人弘仁会板倉病院は、船橋南部地域12万人の医療圏に唯一存在する病院でもある。

 2015年に新病院を建設し、病床数は55床から91床に増床した。17年には画像センターを増築、周辺の診療所に無料で利用してもらい、画像と読影報告書を提供する地域画像連携も始めた。

 板倉病院は地域に密着した高機能都市型病院として「救急」「在宅医療」「予防医療」を3本柱にしている。救急では、2次救急医療機関として1次救急と3次救急と連携するハブの役割を果たす。また、24時間断らない救急体制を確立、救急診療専門医を配置し、救急搬送件数は年々増加している。

 在宅医療では、機能強化型在宅療養支援病院として、地域の診療所や施設と連携し、在宅医療をバックアップ。強化型登録医療機関以外の診療所に対しても、夜間・休日を問わず、入院可能な体制を確保している。同市の17年の高齢化率は23.4%。高齢者の増加に伴い、在宅医療・介護を支える関連多職種連携が必須となる中、板倉病院は船橋南部在宅療養研究会の事務局として、会員の診療所や訪問看護ステーション、薬局などと共に地域包括ケアを巡る諸課題に取り組む。

 予防医療に関しては、市民への啓発活動として糖尿病教室や腎臓病教室、栄養指導教室などを院内で開催。また、福祉・介護・医療の各分野が連携し新しいサービスの提供を目指している公益社団法人船橋地域福祉・介護・医療推進機構と共に、自治会集会所などへの“出前講座”など、月に1度の市民講座を開講している。

 従業員に対しては、医療業界初のカフェテリアプラン(従業員が自ら選ぶ福利厚生制度)を導入。1カ月5000円、年間計6万円までは何に使っても領収書があれば福利厚生と認めている、日勤常勤(夜勤がない)やフレキシブル勤務などワークライフバランスに沿った勤務体制も取っている。

 5代目院長である梶原崇弘氏は「診療所や市民との連携が病気の予防に繋がり、それが災害時の連携にも繋がる。地域全体を屋根のない大きな病院として創る構想で動いている」と大きな視野で地域医療作りに取り組んでいる。


LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK

Return Top