第99回 どうなった? 電通の2億円 南淵明宏(昭和大学教授)
この原稿が出るころは、オリンピックも終わっているだろう。
それにしても、最近のアスリートは皆、雄弁だ。名言満載の楽しいオリンピックであってほしい。
卓球侍の活躍も素晴らしかった。
私の最大の関心事はマラソンの猫ひろしだ。何かの拍子で自分の活路を見いだし、その一点に向かって人生を賭けて挑む無謀さにはただただ感服する。1回しかない人生を謳歌している様子だ。
失点せず、したたかな「小利口さ」でせこく世の中を渡っている世のエリート風情に比べれば、一段も二段も抜きん出た傑物である。果たして活躍できたのだろうか。
それにしても、「次は東京かぁ……」と思うと、うんざりする。
またあの怪しい連中の顔がテレビに映し出されるのだろうか。何とかならないのだろうか。
大金が動く東京オリンピックは怪しい世界の特需なのだろう。
そんなやからのシノギのネタにされるアスリートたちがかわいそうでかわいそうで仕方がない。彼らは人生の全てを勝負に賭けてきたのだから。
そんな純粋で崇高な精神の持ち主を徹底的に利用してもうけのネタにする、そういう血も涙もないクズどもが実は世の中を動かしているのだろう。
それにしても、2020年に開催が決まっている東京オリンピックは呪われている。
国立競技場解体の官製談合に始まり、エンブレムの盗作騒動、新国立競技場デザインの不可解な選考のやり直し、限りなく地味なロゴマーク、お笑いの東京都知事ども──。
極め付きは電通の2億円だ。あれは一体どうなったのか。
シンガポールのHDB(公営住宅)の一室に送金された後、カリブ海に送金されて溶けてなくなってしまったのだろうか。
メディアは知らぬふりをして、このまま封印したままにするつもりなのだろうか。
それにしても、メディアがたたくのはどぶに落ちたイヌだけだ。弱い者イジメは大好きだが、強い者のインチキは見て見ぬふりをする。
「睡眠障害」で国会を半年以上休んでいた議員も不問だ。今後、国会の議場であの議員が居眠りしたら大笑いだろう。
パナマ文書も封印されそうだ。年金の積立金が日本政策投資銀行を経て投資に回った挙げ句……。
それを追い掛かけて報道するメディアはない。強い者には徹底的に迎合する。まさにマスゴミどもだ。
パナマ文書を解明するプロジェクト・チームには日本のメディアも参加しているようだが、それ自体、かなり怪しい気がする。
権力者にとって何かまずいことが出てきたらすぐに封印するための、権力側のチェック機関のように思えてならない。
結局のところ、
「奴らはみんなグル」
そう思うと、結局のところ未来永劫、この先、まともな情報は出てきそうにない。
強い力に従わない者は非国民!
権力には常に盲従隷属、何も知ろうとせず何も考えない。こういう人たちが社会を満たしていくのだろう。
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