第5回勉強会を8月24日に開催いたしました。
2016年8月25日(水)17:00~18:30、砂防会館別館会議室「六甲」にて、「日本の医療と医薬品等の未来を考える会」の第5回勉強会を開催致しました。詳細は、月刊誌『集中』10月号にて、事後報告記事を掲載いたします。
まず、当会主催者代表の尾尻佳津典より、挨拶させていただきました。「オプジーボについて多くのメディアが取り上げたことで、薬価に対して関心が高まっています。大手メディアの論調は、高額医薬品が医療費を圧迫する、医療費の高騰を招く、といったもので、患者目線の記事が少ないことが気になりました。本日は、中医協での議論の中心にいる中山智紀さんにお話をうかがいます。」
続いて、当会国会議員団代表の原田義昭・衆議院議員からご挨拶いただきました。 「医療に関して、さまざまな問題意識、改革案などをお持ちだと思います。多少とんがった意見でも結構ですから、皆さんのご意見やご批判を出して、徹底的に議論してください。それがこの勉強会の趣旨です。そういった議論を受け、私たち議員団は、こういった意見もあると、積極的に発言していきたいと思っています。」
さらに、三ツ林裕巳・衆議院議員、島村大・参議院議員からもご挨拶いただきました。今回の講演は、厚生労働省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏による『高額な薬剤に対応した薬価制度改革の推進』と題するものでした。 まず、国民医療費の動向や、国民医療費に占める薬剤費や薬剤費比率についての現状解説があり、続いて医薬品の薬価がどのように決まるのか、薬価算定方式についての解説がありました。 近年、高額な医薬品が増えており、財政制度等審議会における高額薬剤に関する議論で、オプジーボを肺がん治療に使用すると、その薬剤費が年間1兆7500億円になるという推計値が出たことで問題が大きくなりました。実際には平成28年度の売上高予想は1260億円となっています。
今後の対応としては、大幅な市場拡大に対しては2年毎の改定にこだわらない特例的な対応をとることや、「適正使用推進ガイドライン」による適正使用の推進などが検討されています。
講演後には質疑応答が行われました。 まず尾尻から、「対象患者の少ないメラノーマで高額の薬価が決まり、対象患者の多い肺がんに適応拡大するというのは、企業に大きな収益をもたらすが、なぜこの順番だったのか?」といった質問があり、中山氏から回答がありました。
続いて、篠原裕希・篠原湘南クリニックグループ理事長から、「高額医薬品が承認されることで、結果的に診療報酬の引き下げにつながることが懸念されるが?」との質問があり、中山氏から回答がありました。 馬渕茂樹・トータルライフ医療会理事長からは、「高額医療費の抑制には、がんの自然退縮など、自然治癒力を視野に入れる必要があるのでは?」との発言があり、渥美和彦・日本統合医療学会名誉理事長(東京大学名誉教授)から、「自然治癒力は重要なので、薬以外にこういう方法もあるということを認識していただきたい」との意見をいただきました。 三ツ林裕巳・衆議院議員から「高額医薬品によって薬剤費が年間どの程度伸びるのか、予測はあるのだろうか?」との質問があり、中山氏から回答がありました。 最後に北村唯一・北村記念クリニック名誉院長から、「オプジーボは腎がんにも適応拡大された場合、クリニックでも使えるのか?」との質問があり、中山氏から回答がありました。
勉強会の後は、砂防会館別館会議室「立山」に移り、懇親会が行われました。 参加した多くの方々が自由に交流し、活発に情報交換する場となりました。
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