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トランプ大統領の要求は全てディール材料

未確認情報トランプ大統領の要求は全てディール材料
トランプ大統領の要求は全てディール材料

余計な事を考えず、言う事は全てディール(取引)と思えば、先読みが大きく外れる事は無い──関税、外交等、政策を打ち出す過程に於けるトランプ大統領の発言について、改めてこの様に認識される様になって来た。

トランプ外交に於いて、日本経済への影響が最も懸念されるのは、他国同様に課せられる可能性が高い関税だ。嘗てのバブル期の様に一方的な黒字ではない為、日本への関税発動は見送られるとの見方も有るが、それは楽観的過ぎる。見送りの可能性はゼロではないものの、関税が交渉の道具となっているのは明白で、米国への配慮を欠けば、石破政権は確実に関税を課されるだろう。

トランプ関税が日本との交渉材料になっていると確信させたのは、昨今のドル高・円安を巡り、日本が「通貨安に誘導している」との言い掛かりにも見える発言だ。日本は原油を始め多くの一次産品を輸入に依存しており、物価高騰の中で更なる円安はインフレを加速させる。政府もこの点を内外に繰り返し発信して来たが、市場の不安は拭えない。円安誘導の指摘は、「円高政策を取らなければ関税を掛ける」という脅しと同じであり、関税をちらつかせてドル安・円高の相場に持ち込みたい狙いが有る。

そして、その先に見えるのが日本の防衛費の上積み。トランプ関税は経済だけでなく軍事面にも影響を及ぼしている。つまり、防衛費増額に応じなければ関税を課すというものだ。ドル安/円高は米国にとっても諸刃の刃になるものの、関税、防衛費上積み──これらを米国の収支というお金の流れだけで考えると、関税は収入面、防衛費は支出面と形は違えども、何れもトランプ大統領が進めようとしている米国第一の国益に繋がる話になる。

恐らく、大統領の頭の中に有る国益を守る為の真のターゲットは中国。石破政権は日米同盟関係の重要性を盛んにアピールするが、ならば、ディールの材料として先行き「じゃあ、なんで、日本は中国製品に対して高い関税を掛けない?」等と無理筋な事を言って来るかも知れない。

エヌビディア株、このまま落日の如く消えるのか?

米半導体大手エヌビディアが2月に発表した決算は、売上高が市場予想を上回ったものの、その上振れ幅は2023年2月以来最小だった。この結果に市場は失望し、同社の株価は急落。中国の生成AI企業ディープシークの台頭に対する懸念が残る中でも、同社の収益は大幅に伸びた。それにも拘わらず株価が下落したのは何故か。

繰り返すがエヌビディアの決算は予想よりも良かったのである。サプライズと呼ばれる、予想も付かない程の業績の伸びでもない限り、株式市場では評価されない様になったのか。行き着くところ迄、成長を株価に織り込んだのだとすれば、株式の世界に於ける同社一強の体制が終焉する事を意味する。

生成AI市場の拡大が見込まれる中、同社はその成長に不可欠な半導体を提供し、世界の株式市場を牽引する存在となっていた。今回の決算では、今後の成長を担う「ブラックウェル」の量産化が進んでいる事が示されたが、皮肉にも株価の伸びは一服。強力な製品が業績を押し上げる段階に入るものの、市場は既にそれを織り込んでいる。

ほんの少し前迄、株式市場はEV(電気自動車)の雄、テスラ一強だったものの、25年の年始から3カ月で株価が半減する等、同社を成長株と見る投資家は殆どいない。株式市場は残酷なまでも、柱となる銘柄には期待以上のものを求め、それが薄れつつあるエヌビディアは王座からも陥落が見え始めた。日本では、同社の株価失速と共に、半導体関連株の人気が後退し、防衛費拡大の思惑から防衛関連株が人気化し始めたが、長続きするかどうかは疑問。ディープシークは巨額な半導体投資を必要としないとの理由からエヌビディアの株価急落を引き起こしたが、実際の決算でそれは杞憂となりそう。となると、数年先の成長まで織り込んだかどうかを確かめる為に、当面の同社の株価動向からは目が離せない。

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