SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

SNS詐欺が増加、医師はカモとして狙われる?

SNS詐欺が増加、医師はカモとして狙われる?
SNS詐欺が増加、医師はカモとして狙われる?

少し前まで特殊詐欺と言えば、資産を持っていそうなお年寄りをターゲットにした「振り込め詐欺」等が多かったが、ネットが生活に不可欠となった現在は、SNSを利用した投資詐欺、ロマンス詐欺が多くなり、老若男女、スマホ、パソコンを使っていれば誰しもが騙されるリスクが大きくなっている。

手口は年々巧妙になっているが、そんな中で変わらないのが、お金が有る人に狙いを定める事。そうした意味で、カモと見られるのが医師や歯科医師など医療関係者だ。

実際、2024年12月だけでも、福岡市の30代女性歯科医師が2138万円のSNS投資詐欺の被害に、群馬県太田市の40代男性歯科医師が暗号資産計2290万円をSNS型ロマンス詐欺の手口で騙し取られる等の事件が発生。収入が高いと察知すれば、年齢性別など関係なく詐欺の魔の手は襲い掛かって来る。

医師は被害者としてターゲットにされるだけではなく、ロマンス詐欺ではなりすまし用の隠れ蓑としても登場し易い。著名人の名前で釣る投資詐欺等と同様なのだ。例えば「国境なき医師団」では、所属する医師やスタッフを騙る者がSNS等を通じて連絡を取り、色恋と見せかけて個人的に資金援助を求める等の国際ロマンス型詐欺が発生、注意を呼び掛けている。高額所得者のイメージが強い医師は、あらゆる角度から狙われ易い。

流出した名簿が悪用される従来型詐欺とは若干違い、自分から身分を簡単に明かす被害者が多くいる。マッチングアプリで医師と名乗るのは愚の骨頂で、自らカモと公表している様なものだ。反対に、思慮深い人は自分が本当に医師であっても、相手が詐欺と疑い警戒しないとも限らない。

実際に捜査に関わった経験が有る警察関係者によると、こうした詐欺は手を変え品を変え、絶対に無くならないと断言する。となると、例えば、ロマンス詐欺、投資詐欺について警察庁のホームページで「直接会ったことないその人、本物ですか?」との文言が示す様に、最低でもリアルで会って確かめる迄相手を信用しない等、自衛が必要と言えそうだ。何しろ「問診」と「確定診断」は医師の仕事の一丁目一番地、肝に銘じたい。

無くならないイントレ、市場管理は「性悪説」へ

銀行、保険会社等による金融不祥事が後を絶たない。記憶に新しいところでも、三菱UFJ銀行員が貸金庫から十数億円相当の金品を盗み取る、野村証券社員による顧客への強盗殺人未遂・放火等の事件が発生。こうした荒業とも言える犯罪が起きる他、一向に無くならないのが株式市場のインサイダー取引だ。公平性が重要である東京証券取引所では社員がTOB情報を家族に漏洩、そして最も衝撃的だったのは金融庁に出向中の元裁判官によるインサイダー取引——等耳を疑う様な事件も発生している。

1980年代後半のバブル頃迄なら、日本の株式市場はインサイダー取引、所謂イントレの〝天国〟だった。それは「知ったらしまい」「噂で買ってニュースで売れ」等の相場格言が有った事でも偲ばれる。しかし、時代は大きく変わり、株式市場でも国際化の流れの中でコンプライアンスが重視される様になり、今やイントレは完全な犯罪行為だ。天国だった頃からこの世界にいるベテランの職員、投資家にとっては意識のアップデートが迫られるところだが、意外とも思えるのが、きっちり金融教育を受けたと思われる若手が、無意識的にかこの犯罪に手を染めるケースが目立っている点だ。

イントレが一向に無くならないのは、その管理体制、処罰規定が「本来はやらないもの」を前提とする「性善説」に立脚している為との指摘が有る。昨今、金融不安から個人の投資家が増え、信頼性を高める為によりクリーンさが求められているが、倫理観を厳しく問う為には「悪い事をするヤツが必ずいる」という「性悪説」に傾斜した制度運用も必要。市場はやりたい放題の天国から、悪意なき咎人が待つ地獄への移行期という事か。

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

Return Top