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未来の会

医師の働き方改革による医療現場の変化とは

医師の働き方改革による医療現場の変化とは
特定行為研修による看護師のスキルアップがカ

2024年度から医師の働き方改革が始まった。長時間勤務が常態化し、様々な業務に追われる医師の労働時間の適正化に向けた施策の1つに、タスク・シフト/タスク・シェアが有る。これ迄医師が担っていた業務の一部を看護師や薬剤師など他職種にシフト(移管)、或いは複数の職種でシェア(共同化)する事で、医師の負担を軽減し、労働時間を短縮させる狙いだ。

これに先駆け、最も患者の身近にいる看護師の裁量を拡大し、専門的な知識と技能の向上を目的として15年からスタートしている制度が有る。それが「特定行為に係る看護師の研修制度」だ。ここでの「特定行為」とは、診療の補助行為の事。同研修を修了した看護師は、従来医師が行っていた気管カニューレや胃ろうカテーテルの交換等、「38の医療行為」が医師の指示の下で可能となる。

23年8月迄の集計で、同研修修了者は8820人、特定行為研修指定研修機関は373機関に増加。修業先は病院や診療所、訪問看護ステーション、介護施設、社会福祉施設等で、特に急性期を中心に配置が進んでいる。

しかし、その一方で「研修後の活動に当たり、組織での体制整備が困難」と言う看護管理者や、「医療機関の理解を得るのが難しく、研修で学んだ事を活かせていない」と言う修了者の声も有る。又、訪問看護ステーションは全国に1万4000カ所まで増え、5人以上の大型ステーションも広がりつつ有るが、未だ小規模なところも多く、「研修に出すのが難しい」という状況は続いている。加えて、「医療機関への周知が不十分」という現状も有る。

ICTの活用で無医村地域にも在宅医療を

更なる研修機関の拡充と体制の整備、研修の周知が求められる中、今年2月に、公益社団法人日本看護協会と看護師の特定行為に係る指定研修機関連絡会が共催する「特定行為研修シンポジウム」がWEB開催された。テーマは「院内から地域へ特定行為研修修了者の活躍を考える」。パネリストの1人として登壇した医療法人社団勝優会するがホームクリニック齋藤勝也氏は、「特定行為研修修了者とともに行う訪問診療の現状」と題して講演した。

同クリニックは看取り支援と入院抑制に力を入れた在宅医療を行っており、「これを実行するには、しっかりとしたアセスメント(看護計画を作成する為に患者の状態を分析・評価する)とリコメンデーション(患者毎に適した医療情報を提供する)が出来、医師に代わって医療行為を行える特定行為研修修了者の数を増やす事、看護師の質を上げる事が重要だ」と述べた。

17年に策定された「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」では、ICTを用いて医師と連携する事により、看護師だけで死亡診断する事が認められている。

齋藤氏は「医師が診察しなくてもICTを利用して訪問看護師と連携を取り、医師の指示の下で看護師が処置をすれば、無医村の地域でも在宅医療で管理出来、自宅で看取る事も可能なのではないか」と訴えた。例えば、ウェアラブルデバイス等で患者のバイタルサインを管理し、異常を感知したら看護師が訪問してアセスメントし、脱水であれば保液を、尿閉であればカテーテルを挿入する。という具合に、「今まで医師がいないと無理だと思われていた在宅医療も、特定行為研修を修了した優秀な訪問看護師だけで対応出来る様になる」と説明。同クリニックが特定行為研修の実習生を受け入れている医療風景等も示された。

 21年の厚生労働省の「人口動態統計」によると、日本に於ける看取りの状況は病院での死亡が65.9%、自宅17.2%、老人ホーム10%。将来的には、病院 60%、自宅20%、老人ホーム20%程度になるだろうと言う見解も有る中で、特定行為研修修了者の活躍の場が更に拡がり、一歩進んだ「チーム医療」の形として全国に定着して行く事を期待したい。

 

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