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未来の会

医療の未来を切り拓く
ミッドタウンクリニックの先端的事業戦略

医療の未来を切り拓くミッドタウンクリニックの先端的事業戦略
医療法人社団ミッドタウンクリニックは2007年、東京・六本木にフラッグシップとなる東京ミッドタウンクリニックを開院し、「国際スタンダード」と「患者様ファースト」の理念の下に、がん個別化治療や予防医療を始めとする数々の先端医療に積極的に取り組んできた。医療業界をリードする先進的な試みや、医療ツーリズムにも積極的に取り組む等、海外からも注目される話題のクリニックを取材した。
ミッドタウンクリニックの取り組み

「国際基準の医療とホスピタリティ」を掲げてスタートした東京ミッドタウンクリニックは、全米最高峰の医療機関であるジョンズ・ホプキンス・メディスン・インターナショナルとの10年間の提携により、医療安全文化や経営ノウハウを吸収し、質の高い医療を実践してきた。

外来診療では一般内科から、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、腎臓内分泌内科、脳神経内科、糖尿病内科、リウマチ科、整形外科、脳神経外科と幅広い診療科を設置し、人間ドックや健康診断も取り扱う。特別診察室ではコンシェルジュが案内するエグゼクティブ向けの「プレミアム人間ドック」や会員制医療サービスを提供。外国人患者が利用できるように英語対応スタッフも常駐している。同フロアには美容皮膚科クリニック、デンタルクリニック、ヘルスケアショップも併設し、全身をトータルでサポートする「総合医療空間」の醸成に成功している。

開業から3年後の2010年には、東京ミッドタウン先端医療研究所を設立し、新しい医療を創生するべく、がん治療を中心とする先端医療の研究開発と実践に取り組んでいる。

また2015年に、東京ミッドタウンクリニックの4部門(一般外来、人間ドック、健康診断、特別診察室)は、クリニックとして日本で初めて、国際的な医療機能評価機関であるJCI (Joint Commission International) の認証(外来診療プログラム)を取得し、国際スタンダードの医療機関としての地位を確立させた。

がん治療に対する先端医療をいち早く導入

東京ミッドタウン先端医療研究所では、設立当初から免疫療法を始めとした先端がん治療等、先端医療分野の臨床・研究に力を入れている。

免疫療法自体は1960 年代後半から始まったものだが、様々な形で進化を遂げ、近年では、免疫チェックポイント阻害剤(薬)を始め、がんの標準治療の1つとして保険診療が適用されるものも、いくつか登場している。

今では、がん治療の分野でスタンダートとなりつつある免疫療法であるが、同施設では免疫の力にいち早く着目し、当時より新世代の治療として注目されていた「樹状細胞ワクチン療法」を導入している。

樹状細胞ワクチン療法は、がん抗原(がんの目印)を認識する樹状細胞という免疫細胞を利用した免疫療法の1つであり、体の免疫力をがんに対して優位なバランスに傾ける事で、体内のがん細胞を叩く事を狙う治療法である。

同施設では、「がん治療において免疫の力は不可欠であり、手術や放射線治療、化学療法といったがん治療と併用する事で効果が期待できる」と説明している。

がんゲノム医療と大学病院等との共同臨床研究

免疫療法に続いて同施設が着目したのは、「プレシジョンメディシン(個別化医療)」の概念の下、患者一人ひとりのがんを遺伝子レベルで解析し治療法を提案するがんゲノム医療だ。2017年には国内でも他施設に先駆け次世代シークエンサーを用いた「リキッドバイオプシー検査」を導入し、遺伝子解析の結果に基づいて分子標的薬や国内外の治験情報を探索。患者に対して治療の選択肢を1つでも多く提示できるようがんゲノム医療を臨床に役立てている。

2019年には、ゲノム医療を応用した樹状細胞ワクチン療法を推進する為、東京慈恵会医科大学附属柏病院と共同臨床研究を開始。がん細胞特有の遺伝子変異「ネオアンチゲン」と樹状細胞ワクチン療法を組み合わせた「ネオアンチゲン×樹状細胞ワクチン療法」の提供を2021年より開始している。

2023年には同施設における症例データ解析を基に、固形がんの治療効果判定としてリキッドバイオプシー検査結果を用いた「genomic RECIST(ゲノミックレシスト)」を考案し、臨床上の有用性を示唆。がん治療のモニタリングとしてゲノム解析を定期的に実施する事の重要性を示し、患者 一人ひとりの治療プランを策定し、遺伝子レベルで最適化した治療の提供を目指している。

幹細胞治療を導入。新たなステージへ

2021年には動脈硬化症に対する自己脂肪由来間葉系幹細胞治療の提供を開始。長年のがん治療で培った再生医療及び細胞培養に関するノウハウを基に、重大疾患の早期治療・予防に対する新たな治療の選択肢として取り組んでいる。

2023年には、関節痛やフレイルといった身体機能の改善を目的に治療適応が拡大され、がん治療同様に症例データの解析を進めている。

更に、最新の取り組みとして、血液中のマイクロRNAを測定し、がんの早期発見を期待するがんリスクスクリーニング検査(ミレックサス社)の導入も進んでおり、早期治療・予防医療に向けた新たなステージへ向かっている。常に「患者様ファースト」の理念を中核として、今後もこうした先進的技術の開発と導入を積極的に進めて行く考えだ。

脳にフォーカスした研究で予防医療の発展に寄与

健康長寿に着眼し、予防医療メニューを積極的に導入し、充実を図る姿勢も特長的だ。東京ミッドタウンクリニックが提供している「プレミアム人間ドック」は、病気の早期発見と予防を目的とし、お一人おひとりの生活習慣や希望に合わせたメニューを取り揃えている。

頭部MRI/MRAや胸部/腹部CT等の標準検査項目に加え、唾液によるがんリスク検査や腫瘍マーカーを含む血液検査等、様々なオプション検査をラインアップ。2022年7月には、株式会社エムと脳健康AI評価プログラム「MVision health」(エムビジョンヘルス)の開発にも協力した。

通常の脳ドックは脳動脈瘤や脳腫瘍等、「重篤疾患の早期発見」を主な目的としているが、MVision health はこれに加え、「未病段階の脳の健康状態」を調べる事を目的とし、脳MRI 画像のAI自動解析により加齢に伴う変化の特徴である「脳の萎縮」と「血管性変化」を数値化し、脳の健康度を総合的に評価するもの。脳萎縮の原因となるアルツハイマー病や脳血管障害、脳梗塞等のリスクをより早期に検出し、受診者に対して未病段階から脳の健康を管理する機会を提供する。

受診者様は従来通りの頭部MRI撮影をするだけでよく、全脳の構造部位別の体積(萎縮度)や脳の血管性変化、同年代との比較をグラフ化した詳細な解析結果レポートを受け取れる。検査結果に応じて、脳の健康を維持する為の生活習慣のアドバイスも提供される。更に、継続して受診する事で、自身の脳の経年変化や同年齢の平均と比較した時の脳の加齢変化の速度を知る事ができる。

MVision healthの画期的な点は、「脳の健康状態の平均値」を提示できる事だという。以前は脳の健康状態に関する「平均値」が無かった為、遺伝子検査受診者がアルツハイマーの将来リスクを受け取ったとしても、現在の脳の健康状態が分からず不安だけが残っていた。「判断軸となる指標を持つ事で現状との比較ができ、予防への行動に繋がります。認知症においても、今の脳の健康状態が何処に位置するのかを把握できる指標を持つ事が第一歩だと思います」と田口淳一院長は話している。

MVision healthは、エムの創業者であり米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部放射線科教授の森進氏が持つAI画像解析技術と、東京ミッドタウンクリニックの脳ドックで蓄積されたデータを用いる事によって誕生した。プログラムの開発には3年間の歳月を要し、テストランと検証を経て正式サービスの提供に辿り着いた。その後、他の医療機関向けにも提供を開始し、2023年6月にはMVision healthと共通の画像解析AIを使用した認知症診断支援ソフトウェア「画像解析プログラムMVision brain®」が薬事認可を取得した。現在は未病段階から既病段階まで認知症医療の各フェーズを一貫して支援するツールとして、全国の医療機関で導入が進められている。

認知機能を改善するプラズマローゲン研究も進展

認知症に対するもう1つのアプローチとして、ミッドタウンクリニックでは「プラズマローゲン」に注目している。プラズマローゲンは認知症の原因物質であるアミロイドβの沈着を抑制する効果が確認されている成分で、アルツハイマー病患者の脳や血中で減少している事が報告されており、アルツハイマー型認知症の予防や治療応用への可能性が期待されている。

「認知機能障害は進行を遅らせるのみで、改善させる事は不可能」というのが長年の常識だったが、2014年に開催された医療シンポジウムで、プラズマローゲン研究の第一人者である藤野武彦・九州大学名誉教授がプラズマローゲンの摂取により認知機能が改善したとの研究結果を発表し、大きな衝撃を与えた。それ以来、同クリニックは藤野教授らのグループの研究事業を支援すると共に、その成果を踏まえ、更なる研究を進めてきた。

こうして2021年に開催された第21回日本抗加齢医学会総会において、田口院長は「老人介護施設入居者に対するプラズマローゲン顆粒の効果」に関する臨床試験の結果を発表するに至った。

この研究では、嚥下困難により従来の「プラズマローゲン」(カプセル/ソフトカプセル)を摂取できない90歳以上の高齢者において、プラセボ対照と比較して、プラズマローゲン顆粒の服用により集中力(脳の反応速度、注意力)と短期記憶の有意な向上が認められた。アミロイドβの蓄積は発症の20年以上前から始まっている事が明らかになっており、早期の軽度認知障害(MCI)等に対する効果も期待される。

DX化の推進で更なる飛躍を目指す

リゾートトラストグループが運営する会員制総合メディカル倶楽部「グランドハイメディック倶楽部」は3万人以上の会員を有し、全国で9拠点(8コース)の検診コースを提供している。2024年から2026年に掛けては、東京ミッドタウンクリニックを含む3拠点を新たに開設する事が決定している。

一方、リゾートトラストは年間約270万人のホテル宿泊利用者を有し、AIを活用した顧客データ分析によるサービスの創出も進めて行く。DX化とリゾートトラストグループとのシナジーによるミッドタウンクリニックの新たな展開が注目される。

人生100年時代のウェルビーイングを追究

「人生100年時代」と言われる超高齢社会。人々が健康長寿を達成し、ウェルビーイングを追究するうえで、開院以来「患者様ファースト」の姿勢を徹底し、先端医療による個別化治療や予防医療を推し進めるミッドタウンクリニックは、今後の医療の在るべき1つの姿を具現化している。今後も「自分らしく人生を楽しめる健康長寿社会の実現」をモットーに、患者を中心とした医療の発展と未来の医療創生を目指し、ミッドタウンクリニックの更なる挑戦は続く。


国際基準の医療とホスピタリティ
東京ミッドタウンクリニック
https://www.tokyomidtown-mc.jp/

エグゼクティブ医療サービス
プレミアム人間ドック
https://www.tokyomidtown-mc.jp/premium/

先端医療分野の臨床と研究
東京ミッドタウン先端医療研究所
https://www.midtown-amc.jp/


 

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