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第64回 厚労省人事ウォッチング 加藤厚労大臣支える元産経記者

第64回 厚労省人事ウォッチング 加藤厚労大臣支える元産経記者
厚生労働大臣 加藤 勝信氏

 昨年8月の内閣改造で、3度目の厚生労働大臣に就任した加藤勝信衆院議員の省内からの評判は上々だ。元財務官僚だけあって政策を理解する能力は高く、ここまで安定した仕事ぶりを見せている。発信力に乏しいと揶揄される事も有ったが、ツイッター等SNSでの発信に力を入れ、存在感を高めている。そんな加藤氏の「右腕」として仕えるのが、産経新聞で長く番記者を務めていた大臣秘書官の桑原雄尚氏だという事はあまり知られていない。

 桑原氏の経歴を簡単にまとめておこう。新潟県出身の桑原氏は、県立高田高校、神戸大学法学部を卒業後、産経新聞社に入社し、現在は49歳。関西や関東等での勤務を経て、政治部に配属されたのは10数年前と見られ、首相官邸や自民党、厚労省等を担当した。

 2010年頃から加藤氏を取材し始めた桑原氏は、野党ながら社会保障と税の一体改革でキーマン役となった加藤氏に集中的に接触し、他社の記者の中でもひときわ食い込んで行ったという。12年末に自民党が政権に復帰すると、 官房副長官に抜擢された加藤氏の正式な「番記者」になり、更に本領を発揮した。

 大手紙記者が「加藤氏の自宅に連日の様に夜討ち朝駆けを繰り返し、加藤氏の事務所よりも加藤氏の動向を知る存在となって行った」と舌を巻く程、メディア関係者から一目置かれる存在になって行った。

 永田町への転身の転機となったのは、21年秋の衆院選の直前だった。選挙を間近に控え、事務所の態勢強化を考えていた加藤氏が、政治部から他部に異動になっていた桑原氏に秘書への転身を打診したとされる。桑原氏も「政治的にバランス能力の有る加藤氏とは馬が合う。時の運も有るが、将来的に総理大臣も狙える存在だ」と周囲に話している事から、この誘いに二つ返事だったと見られる。

 21年夏に加藤氏の事務所に入った際の桑原氏の肩書は政策や広報担当の私設秘書だったものの、公設第二秘書、厚労大臣秘書官と順調に責任あるポジションを任されている。現在は、事務所と厚労省を行ったり来たりする日々を送るが、連日の様に自撮りの動画をツイッターにアップする「かつのぶフレーム」 を加藤氏の娘と共に担当。その独特な構図や印象的なコメントが永田町界隈以外からも評判を呼んでいる。厚労省内では新聞記者の経歴を生かし、大手紙記者らが加藤氏にスムーズに取材出来るよう工夫を凝らす。

 今後の課題は、加藤氏を厚労大臣から政界の高みへと如何にステップアップさせるかだろう。最大の後ろ盾だった安倍晋三・元首相が亡くなった今は正念場とも言えるが、次のリーダーを窺う武田良太・元総務大臣や萩生田光一・政調会長の3人で会合を頻繁に開き、来たるべき勝負の時に備える。

 人当たりの良さで知られる桑原氏は、記者時代からの「人脈」も豊富で、日本医師会の横倉義武・名誉会長ら有力者には顔が利くとされる。こうした人脈を生かし、そう遠くない時期に訪れるであろう加藤氏の「勝負所」で桑原氏はどう動くのか。更なる真価が問われる時が来るかも知れない。

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