他人事ではない? サイバー攻撃の恐怖
大阪市住吉区にある大阪急性期・総合医療センターで10月31日午前、電子カルテ等のシステムを管理するサーバーの画面に突然、「全てのファイルは暗号化された。復元の為にはビットコインで支払え」と身代金を要求するメッセージが浮かび上がった。ランサムウェアと呼ばれるコンピューターウイルスによるサイバー攻撃を受けたのだ。
これにより、センターでは電子カルテの使用や診療報酬の計算が出来なくなり、1カ月以上に亘り新規の外来診療も止まった。
同センターは70年近い歴史を持つ公立病院で、大阪府の基幹災害医療センターにも指定されている。800床以上のベッドを持ち、救急患者や新型コロナの患者も受け入れ、大阪南部地域の医療機関の中核となって来た。入院中の患者の治療は何とか継続出来たものの、救急診療や検査等を予約していた外来患者の診療は一時ストップ。大きな影響が出た。
ランサムウェアは、侵入先の大事なデータを暗号化して使用出来なくし、復元と引き換えに金銭を要求するコンピューターウイルスだ。電子カルテという極めて機密性の高い患者情報を持つ医療機関はランサムウェアによる攻撃を受け易く、年々被害が増えているという。一方、そうした攻撃に対抗する為の予算や人材は少ない。
調査の結果、サイバー攻撃は先ず、センターと接続している給食委託業者のサーバーに行われ、この業者のサーバーを通じてセンターのシステムに侵入された可能性が高い事が分かった。この業者は、昨年10月にサイバー攻撃を受けた徳島県つるぎ町の町立半田病院と同じ会社の古いVPN(仮想の私設網)を利用しており、この脆弱性を突かれた様だ。
中国地方の民間病院の職員は「数年前に金を掛けて電子カルテ等のシステムを整えたら、今度はウイルスの対策をしろと言う。いっそのこと、紙のカルテに戻したい」と溜息を吐く。センターが完全に復旧するのは1月になる見込みで、関係者は取り越し苦労ならぬ、年越し苦労を強いられてしまった。
シラウオが怖い? 顎口虫症の恐怖
寄生虫が皮膚の下に入り込み、痛みや腫れを引き起こす「顎口虫症」が青森県内で相次いで確認された。原因とみられるのは、地元の小川原湖名産のシラウオの生食。これ迄当たり前に食されてきた名産の魚に起因する寄生虫症に、地元では衝撃が広がっている。
顎口虫症は、線虫の一種である顎口虫という寄生虫によって引き起こされる症状。ドジョウやナマズ、ヤマメ等の淡水魚に寄生し、加熱調理せずに食べる事で人間にも発生する。人間の体内では成虫になれない為、幼虫のまま胃壁を突き破って体内を自由に移動する。皮下組織に移動すると、みみず腫れのような独特な病変と共に痒みや痛みが出現する。
東南アジア等に多く生息し、日本でも温かい地域での発生が多かった。ところが、今回は青森県での初めての確認。しかも小川原湖は青森県最大の面積を誇る湖で、シラウオやワカサギの漁獲量は全国1位の記録を持つ。
にも拘わらず、約130人という大規模な食中毒を出してしまい、観光産業に与える影響も計り知れない。
「生食を避ければ大丈夫とは言うものの、シラウオは死ぬと体が白くなる為、透明なまま、つまり生きたまま食べる『踊り食い』が観光の目玉にもなって来た。新鮮なままおいしく味わって欲しい気持ちはあるが……」と観光業関係者は肩を落とす。幸い重症者は出ていないと言うが、過去には幼虫が目に入り込んで失明したり、喉に入り込んで呼吸困難になったりした事例も報告されている。観光の目玉よりも、先ずは人間の目玉を守る方が先だ。
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