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未来の会

228 日本赤十字社 高知赤十字病院(高知県高知市)

228 日本赤十字社 高知赤十字病院(高知県高知市)

災害に強く、環境を守る地域医療の支柱
228 日本赤十字社 高知赤十字病院(高知県高知市)

近い将来発生すると予測される南海トラフ地震に備え、高知赤十字病院は2019年5月6日、市中心部から北へ1キロ離れた工場跡地に移転新築した。旧病院は老朽化の上手狭となっていたが、近隣に適当な土地が無く、建て替えは長年の懸案だった。しかし、11年の東日本大震災後、市中心部は大地震によって浸水する事が分かり、災害拠点病院としての使命を果たす為にもより海抜の高い現在の地に移転する事を決めた。

新病院のコンセプトは勿論「災害に強い病院」で、建物には免震構造を採用し、屋上にヘリポートを整備。防災備蓄倉庫には食料や飲料水、医薬品を7日分備蓄出来る。地下水を浄化する設備により非常時にも水の確保が可能で、電力も異なる変電所から2系統で受電。屋上に非常用発電機を2台設置する等、ライフラインの寸断にも備えている。

建物は8階建てで、1階に救急外来、3階に手術室とICU、救急病床があり、屋上のヘリポートとは専用エレベーターで直結している。5階は産科と婦人科疾患、乳腺・甲状腺疾患の女性専用病棟となっており、LD(陣痛・分娩)室はリラックス出来るよう十分な広さを確保した。

「環境への配慮」も重要なテーマだ。400床以上の病院としては全国で初めてZEB Ready(ゼブレディ)の要件を満たす建築物として認証された。ZEB Readyとは、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を50%以上削減出来る性能を持つ建築物で、国が定めた基準に基づき第三者機関が認証している。具体的には、建物の外壁や窓に断熱効果の高い建材を採用し、効率的に室温を調整する空調システムを導入。照明も時間帯によって明るさを調整する等、消費電力を抑える工夫が凝らされている。

地域医療の面では「患者の居心地の良さ」にも配慮した。自然光を確保した明るいメインフロアからは、病院南側に広がる高知の街並みが一望でき、診察の待合室や図書室等には過ごし方に合わせた什器を選定した。玄関付近には来院者が気軽に寛げる家具や、高知の染め物伝統工芸である「フラフ」の作品が飾られ、地元利用者にとって、家庭的で親しみのある空間となっている。この他、職員専用フロアも充実した。広いラウンジは食事や休憩以外にも、講堂と一体的に使えて利便性が高く、職員の満足度を高める配慮がなされている。

災害に強く人に優しい医療拠点として、今後も救急救命や高度医療を中心に、地域住民の生活を支えて行く。


228日本赤十字社 高知赤十字病院

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