消毒薬飲み参院選へ? 「反ワク」の過激な現在地
新型コロナウイルスの感染者が日本で爆発的に増加しない理由として、ワクチンとマスクの存在が挙げられている。副反応の強さはあったものの、確実に効果を示したワクチンに対して、反対していた人達は今、どうしているのか。
「反ワクチン派の過激化は止まっていない。科学を無視したトンデモ理論は衰え知らずで、支持者の盛り上がりはカルトの様相だ」と語るのは、反ワクチン運動の取材をする記者だ。
「国民の8割以上がワクチンを打った為、ワクチンを打つなという呼び掛けではあまりにも対象者が限られる。そのため、ワクチンの〝解毒剤〟として二酸化塩素水の飲用を呼び掛ける動きが活発になっており、あまりに危険だと注目を集めた」と同記者。
強い酸化力を持つ二酸化塩素は消毒に使われ、ウイルス除去効果も期待されている。だが、体内に入れて良い物ではなく、水に溶かすと不安定になるため飲用には向かない。端から「科学無視」のトンデモ理論なのだ。
「米国でもトランプ前大統領の支持者に反ワクチン派が多い事が分かっていますが、反ワクチンの動きは政治とも結び付き易い。7月の参院選では、新興勢力として注目された参政党が反ワクチンを訴えて話題となりました」(同)。
同党共同代表の松田学氏は、ワクチンを「お注射」と表現し、東洋医学や代替医療等の専門家と対談する動画を繰り返し発信。同じく共同代表の吉野敏明は歯科医だが、コロナワクチンには胎児の遺伝子が入っている等のデマを発信したり、自身のクリニックでロシアが開発したという怪しげな医療機器を用いたりしている。信じるのは自由だが、他人に影響を与えない範囲でやってもらいたいものである。
1億5千万円着服された南伊勢町の茨の道
人口約1万1千人の町が激震に見舞われている。三重県南伊勢町は6月、町立病院の診療費等を着服したとして、職員の廣出翔主査(38歳)を懲戒解雇した。公務員の公金横領は珍しくはないが、本件が注目を浴びたのは、その金額の多さと横領の目的だ。
「主査は2019年5月から横領が発覚する今年6月頃までの間に、少なくとも1億5千万円を横領した。勤務する町立南伊勢病院で、患者から預かった診療費の一部を懐に入れたり、病院の口座から無断で現金を下ろしたりする手口だった」(地元記者)。
さらに町を仰天させたのは、金の使い途だ。主査は町の調査に、「アイドルグッズの購入費や、インターネットゲームの課金に使った」と説明したのだ。
「主査が勤務していた病院は、高齢化が進む地域で、へき地医療や訪問診療にも力を入れる地域密着型の病院。内科を中心に、外科、整形外科、皮膚科等の外来を行っており、19年に新しい建物になったばかりだった」と地元記者。
地域に愛される病院にとんでもない職員がいたものだが、実はこの主査には前科があった。町の上下水道課の会計担当だった17〜18年度にも、会計書類を粉飾する等の手口で約500万円を横領していたのだ。
ここでの犯行がばれなかった事や、大きな金額を扱う病院に異動になった事で、横領金額が増えた可能性が高い。
「主査は04年に役場に入り、会計畑を歩んで来た。今年5月、病院の決算書類に不審な点が見つかり町が調査を進めて発覚したが、実質1人で会計を担当して来た為、発覚が遅れた」と地元記者は説明する。
同町の1年間の町税収入は約10億円。1年に5千万円と計算して、町税の20分の1を横領していた主査。町は当然、返還を求めて行くが、全額返済は茨の道である。
LEAVE A REPLY