身勝手放火犯の衝撃……医師ら「防げない」
大阪市北区曽根崎新地のビル4階のクリニック「西梅田こころとからだのクリニック」の放火殺人事件が、医療関係者に動揺を広げている。重度の一酸化炭素中毒等で病院に搬送され、集中治療室(ICU)に入っていた谷本盛雄容疑者(61歳)は死亡したが、その残忍な犯行は防犯カメラに映っていた。「あそこ迄、周到に計画されて狙われたら、防ぎようが無い」。大阪市内のあるクリニック医師はため息をつく。
「何も医療活動が出来ない現場だった。無力感を感じた」と語るのは、火災の発生直後に出動した大阪府の災害派遣医療チーム(DMAT)の隊員だ。DMATが現場に到着した際、被害者の殆どは一酸化炭素中毒で危険な状態で、ほぼ手の施しようが無かったという。
その理由は、容疑者が周到な準備を重ねて犯行に及んだからだ。本人の口から動機を聞く機会は失われたが、自宅に残されたメモや当日の行動からは、患者やスタッフを外に逃げられないようにする等、大きな被害を出す為に練られた残忍な計画であった事が窺われる。
「医療現場は性善説で動いている。防犯カメラはあるが、常時監視している訳でも無く、今回の様に患者が本気で犯行をしようとしたら避けられない」と都内のクリニック医師。建物の構造上、新たにドアや窓を設置するのが難しかったり多額の費用が掛かったりする場所も多い。
新型コロナ対応でも、多くの医療機関で発熱患者を受け入れる専用のルートが確保出来ない等の問題が顕在化した。悲劇を繰り返さない為にも、新たな感染症に対応する為にも、医療機関の建物の安全性を高める為の公的な補助を考える必要が有る。
「ダイヤモンド・プリンセス婚」の嫌な感じ
昨年暮れ、政界で1組の夫婦が誕生した。故・橋本龍太郎元総理の息子で、厚生労働副大臣等を歴任した自民党の橋本岳氏(47歳)と、日本医師会の組織候補で厚生労働政務官を務めた自民党の自見英子氏(45歳)だ。自見氏の父は、橋本龍太郎内閣で郵政大臣を務めた自見庄三郎氏で、まさにサラブレット同士の結婚なのだが、2人の門出に複雑な思いを抱く厚労省関係者は多いという。
岡山県倉敷市で昨年末開催した自身の政治資金パーティーで「自見氏には子供達4人の母になってもらうが、落ち着いた家庭を築き、安心して仕事に取り組めるよう頑張っていきたい」と支援者に報告した橋本氏。一昨年離婚したという妻の間に4人の子供がおり、これが再婚になる。対する自見氏は初婚。仲人は日医の横倉義武前会長が務めた。
2人の交際が「週刊文春」の報道で明らかになったのは、一昨年7月の事。議員宿舎を行き来したり、一緒に食事したりする様子が報じられ、自見氏は同誌の取材に「2人はコロナセット」と新型コロナ対応に当たる〝同志〟で有る事を強調していた。
ただ、この慶事について「おめでたい話に水を差すのは憚られるが……」と前置きをしながら複雑な胸中を明かすのは、今も新型コロナ対応に当たる厚労省職員だ。〝コロナセット〟のふたりは、多くの感染者が出て世界から注目されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で陣頭指揮に当たった。イタリア政府から揃って叙勲される等その対応を評価する声も有るが、「橋本氏はツイッターに船内写真をアップ。同船に一時乗船し厚労省の対応を批判した神戸大学の岩田健太郎教授の批判を受け投稿を削除する等、余計な騒ぎを巻き起こした張本人でもある」と職員。世界中から非難が集まったクルーズ船をきっかけに仲を深めたと言われても、「あまり思い出したくない出来事で、複雑な気持ちになる」と職員らがため息をつくのは致し方ない。
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