「日本初の医療格付がスタート」
【医学部・医療機関の格付「集中格付」 今春から格付け調査開始】
2017年4月18日の「衆議院消費者問題に関する特別委員会(以下・消費者特別委員会)」は開始早々から紛糾していた。共産党議員からの厳しい質問が続けざまに飛び、消費者庁や厚生労働省の医療担当者は防戦一方だった。この日、筆者も日本消費経済新聞から誘いを受け傍聴席にいた。この共産党議員は日本で美容外科医療が野放し状態になっている事を糾弾していた。その理由として、美容外科医療を受診した患者の健康被害が急増していることを挙げ、自由診療とはいえ、自由診療にしているのは政府であり、その責任は政府にある。よって健康被害者の救済は政府の責任に於いて解決をするべきだと論陣を張っていた。答弁に立った厚生労働省や消費者庁の担当者も異論はなく、今後は自由診療を行う医療法人への対応を検討して行くと発言をしていた。
日本の美容外科医療が国会の場で激しく糾弾されている事に驚いた。その後、厚生労働省や消費者庁からこの問題についてレクチャーを受けたが、結構な数の被害が出ている事が分かった。彼らも自由診療は守らなければならないが、野放し状態と言われる現状の改善は必要になると話していた。その後、集中出版が主催する勉強会「日本の医療の未来を考える会」でも議論をしたが、日本美容外科学会に所属する複数の形成外科医からも健康被害の救済は必須だと発言していた。これを切っ掛に、患者が必要とする医療の安心安全面や経営面を含め、医療法人を多角的に評価する「集中格付」を開始する事になった。
日本では美容外科医療の多くは厚生労働省の管理・監督を受けない自由診療だ。自由診療の場合、治療を行う医師の裁量は幅広く、使用する医療機器や薬剤の選択も医師自身の判断で使用する事が可能だ。保険診療では承認されていない医療機器でも自由診療の場合はその医師の元であれば使用出来る。医師は難関の大学医学部を経て医師国家試験を突破した者だけが得る称号だ。医療知識や技術やモラルは十分だ。しかしながら、取材を続けると時に飛んでもない話にぶち当たる。消費者特別委員会での糾弾も理解出来る。
日本には「日本美容外科学会」なる同名の学会が二つ存在する。英文表記では「JSAPS」と「JSAS」となり、英文で区別が付く。実に不思議な話だがお互いが譲らない。「JSAPS」は大学病院やその関連施設が多く、形成外科医で構成された美容外科学会であり、「JSAS」は形成外科以外の領域から参入した美容外科医を中心に構成された美容外科学会となる。同名の組織が二つ存在すると言う事はお互いの主義主張に隔たりが有るからだろう。美容外科医療受診者にとっては非常に分かりづらい事は問題だろう。
コロナ禍の中ではあったが、自由診療で美容外科医療を行う医師十数人に、今春から開始する「集中格付・美容外科クリニック版」の趣旨説明をした所、全員が「是非ともやって欲しい」と積極的賛同の意見を頂いた。彼らは美容外科医療を、自信を持って提供していると話す。しかしながら、問題のある美容外科クリニックも確かに存在すると話す。ほんの一部の悪質な美容外科クリニックによって美容外科全体が風評被害を受ける事を避けるためにも「集中格付・美容外科クリニック版」の発行で差別化に期待したいと話す。
「集中格付」は、集中出版が手がける、医療の質を様々な角度から多角的に見極める情報を提供するサービスの1つとして、今春開始するもので、「大学医学部版」「医療法人版」「美容外科クリニック版」の3部門を設ける。集中出版独自の評価を基に、AIによる評価の導入と、医療、及び、美容アナリストの意見も取り入れていく。
本プロジェクトの会長には、日本医学会連合名誉会長の髙久史麿先生に就任して頂いた。日本初の出版社による格付として、「集中格付」に是非とも期待をして頂きたい。
(2021年1月12日)
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