207 日本生命病院(大阪府大阪市)
目指すは「アートと医療の融合」
江戸時代後期の医師・蘭学者で、明治の指導者を数多く輩出した適塾(大阪大学の前身)を開いた緒方洪庵。その次男・緒方が開業した名門・緒方病院の土地と建物を継承し、1931年に開院したのが日生病院(現・日本生命病院)だ。
運営を担う公益財団法人日本生命済生会は「済生利民」(人々の生命や生活を救い、人々の役に立つ)を基本理念に掲げる。
第2次世界大戦後は連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の公衆衛生・医療行政改革の下、「西日本のモデル病院」に指定された。
また、戦後復興が進む中、生計困難者を対象にした無料低額診療や、児童養護施設等での無料健康診断、母子家庭の母親を対象にした無料乳がん検診等、医療を通じた社会貢献に取り組んできた。
同病院は2018年、大阪府の「江之子島まちづくり事業」の一環として、大阪府庁の跡地に新築移転した。地上14階、地下1階建てで、27診療科、9診療センター、病床数350床を擁する。
被ばく量の少ない320列CT、3テスラMRI、最強のがん検査法の1つと言われるPET/CT、高精度放射線治療装置「True Beam」、手術支援ロボット「ダヴィンチ」等も導入。現在、大阪西部地域の基幹病院になっている。
新病院はコンセプトの1つに「アートと医療の融合」を掲げる。
「心と身体の癒しを提供する、心地よい快適な病院」を目指し、四季折々の草花を楽しめる回遊式イングリッシュガーデン、患者や地域住民の憩いの場となるコリドー(通路)、健康食や焼きたてパンを提供するレストランやカフェを設けている。
コリドーでは、大阪府が所有する美術コレクションの中から、大阪の風景を描いた作品を中心に定期的に入れ替えながら展示している。また、院内各所にも絵画を中心に約400点の作品が展示されている。コリドーの多目的ホールでは、音楽鑑賞会等も開かれている。
同病院は現在、超高齢社会を見据えた高度予防医療への取り組み、医療の効率化、災害医療等にも注力している。
日本生命病院
LEAVE A REPLY