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「戦略的PCR検査」で 感染拡大を防ぎ、経済を回す

「戦略的PCR検査」で 感染拡大を防ぎ、経済を回す
鹿野 晃(かの・あきら)1973年富山県生まれ。2002年藤田医科大学卒業。米ペンシルバニア大学医学部留学。米アイオワ大学医学部留学。04年相澤病院救急科。09年青梅市立総合病院救命救急センター医長。18年遠山脳神経外科副院長等を経て18年11月ふじみの救急クリニックを開業。日本救急医学会救急科専門医

救急医療の効率化を進める狙いで救急クリニックを開業したが、新型コロナウイルスの感染拡大により、24時間体制でPCR検査を行うクリニックとして知られるようになったふじみの救急クリニック(埼玉県入間郡)。感染を抑えるには検査の充実が欠かせず、経済を回すためにも高リスク業種の人達を対象にした定期的なPCR検査を行うべき、と鹿野理事長は主張する。

——連日24時間態勢でPCR検査を行う事で、分かってきた事はありますか。

鹿野 感染拡大が始まった当初、37・5℃の発熱が4日以上続いた場合に検査するという事がありましたが、発熱や、咳や痰等の症状がなく、味覚障害だけでも陽性になる人がいます。何となくだるいだけの人も、無症状の人もいます。こういった人を検査しないでいると、周りに感染を広げてしまう事があるわけです。症状だけでは分からない、実に医者泣かせのウイルスだと思います。症状が軽くてもCTを撮ると肺炎の所見がしっかりある事があるし、酸素飽和度が下がっていても苦しさを感じない患者さんもいます。検査をしない事には分からないという事です。

——インフルエンザとの違いは?

鹿野 インフルエンザでも重症化する人はいますが、ワクチンやインフルエンザ治療薬の効果もあって、患者さんがICU(集中治療室)を占拠してしまうとか、ECMO(体外式膜型人工肺)を使わなければならない状態になって医療崩壊が心配される等という事にはなりません。しかし、コロナの場合には、治療が長期化する事でベッドがどんどん埋まってしまい、医療崩壊に繋がりかねません。楽観視出来ない病気だという事がはっきりしてきました。

——第2波が収まってきましたが、今後はどうなりそうですか。

鹿野 自粛や緊急事態宣言で第1波を抑え、5月下旬から6月下旬までは陽性者がほぼゼロの状態が続きました。その後、毎日陽性者が出るようになり、第1波を超えるような状況になっていました。ようやく第2波が収まってきたところですが、すっかり鎮静化し感染防護具等の備蓄が出来て秋冬を迎えるのか、このまま完全に収束しないまま秋冬に突入してしまうのか、まだ分かりません。ただ、第2波を超えるような波が襲ってくる恐れもあるわけで、その点については、全ての医療従事者が危惧しているところだと思います。

プレハブを活用した検査・入院体制

——コロナの診療を行う事になった経緯は?

鹿野 救急クリニックとして、24時間365日体制で何でも診るという事をやってきました。コロナに関しても、怖いから診療しないという選択肢は、最初からなかった。指定感染症医療機関でしか診療してはいけない病気なら、もちろん手は出しませんが、そうではありませんでしたから。ただ、院内感染は防がなければならないし、かかりつけの患者さんに不安を与えたくない。そこで屋外のテントで検査を始めたのですが、雨風に弱くて困っていました。そんな時、当院は現在増築中なのですが、工事現場の人達が使っていたプレハブが2戸空いて不要になったのです。これは使えると、そのプレハブをクリニックの玄関前に設置して外来を始めました。プレハブなら雨風が凌げるしエアコンも付けられます。これがうまくいったので、駐車場にプレハブを建てていき、コロナの患者さんが入院出来る病床にしました。

——19床が認められていたのですね。

鹿野 増築する事で昨年19床の病床が認められましたが、元々クリニックにあったのは10床の大部屋だけでした。普通の患者なら10人まで入院出来ますが、コロナの患者さんだと換気等も必要になるので、最大で6人くらいしか入れません。更にコロナ疑いの人を患者と一緒にするわけにいかないので、疑いの患者さんが1人入ると、もう入院出来ないという状況になってしまうわけです。その点、駐車場にプレハブを置いて個室の病床にしていけば、19人が入院出来ます。駐車場は半分くらいうちが借りていて、残り半分は近隣の方々が借りていたのですが、お詫び料を支払って他の駐車場に移ってもらいました。そこにプレハブを建て、現在に至っています。新たに導入したCTも、プレハブで使っています。

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