新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスコミ等で取り上げられる機会が多くなった政治家がいる。加藤勝信・厚労相はもちろんだが、改正新型インフルエンザ特別措置法を担当する西村・経済再生相だ。橋本岳・副厚労相もクルーズ船対策の現地責任者として奮闘。今回は新型コロナでにわかに注目されている政治家を取り上げたい。
西村氏は衆院兵庫9区(明石市や淡路市など)選出の衆院議員で、当選は6回を数える。57歳で自民党では細田派に所属する。灘高、東大法学部卒業の俊英で、1985年に通商産業省に入省した元キャリア。外務政務官やTPP担当の内閣府副大臣、官房副長官等を経て、昨年9月の内閣改造で経済再生担当相に就任。永田町関係者は「官僚だけあって答弁能力は高いが、とにかく軽い性格だ。女好きとして知られ、過去に総裁選に出た事もあり、野心家だ」と話す。
西村氏が新型コロナ担当になったのは、加藤厚労相が業務増のため辞退し、安倍晋三首相が菅義偉・官房長官に権力が集中するのを嫌ったため、と言われている。就任後は、積極的にテレビ行脚を重ね、マスコミ関係者からは「言葉が先走っている」との声が漏れる。永田町・霞が関界隈で「西村大臣が周辺に3月30日に緊急事態宣言を出すかもしれない、と漏らしている」という噂が駆け巡ったのは、その「言葉の軽さ」も一因かもしれない。
橋本氏は横浜港沖に滞在したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に“現地対策本部長”として対応に当たった。宿泊場所がない中、乗客乗員3700人を下船させずに船内の感染を一定程度コントロールするという難題に立ち向かった。しかし、船内に潜入した岩田健太郎・神戸大教授から「悲惨な状態だ」と批判され、自身のツイッターで「清潔ルート」「不潔ルート」に分けた船内の写真をアップして反論したが、「不潔」という言葉の使い方や奥でルートがクロスしている事が更なる批判を呼び、削除する事態に陥った。
事情を知る厚労省幹部は「橋本副大臣は昼夜問わず一生懸命対応していたが、やや軽率だった」と認める。現地対策本部長の辞令もなく、働かされた事に橋本氏自身は不満を漏らしているという。
注目を集めようと躍起になっていたのが、自見英子・厚労政務官だ。本来は年金と労働分野が担当だが、医師出身という事もあり、クルーズ船対応に名乗りを上げた。大坪寛子・大臣官房審議官も同様の業務に当たっていたため、「自見政務官と大坪審議官が対立し、お互いに主導権争いをしている」(厚労省職員)という話も省内に広がっていた。
厚労省関係者は「自見政務官の差し入れには自分の顔を模した物が配られていた。参院の全国比例のため選挙違反に当たるのでは」と冗談交じりの噂も飛び交ったほどだ。クルーズ船から下りた橋本・自見両氏は陰性で通常業務に戻っているが、その後は特に目立った動きはない。西村氏は将来の首相を目指しているといい、橋本・自見両氏も今後の活躍が期待される。官僚からは「将来期待出来る政治家が少ないと言われているので、3人には目立つ仕事だけじゃなく、地道に力を付けてもらいたい」という意見が多い。
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