
中央官庁で女性管理職が少しずつ増えている。2023年7月1日時点で、本省課室長相当職に占める女性の割合は中央官庁全体で7・5%と前年度から0・6ポイント上がった。厚生労働省は9・7%で全体よりも高かったものの、民間企業の平均値(13%)を下回った。省内の女性管理職を取り巻く状況をリポートしたい。
中央官庁で女性管理職比率が最も高いのは人事院で19・2%。最も低いのが内閣法制局と個人情報保護委員会の0%だ。厚労省は文部科学省(12・6%)、消費者庁(12・5%)、経済産業省(12・2%)、こども家庭庁(12・1%)等に次いで、9番目だった。
現在、女性の局長は5人。旧厚生系キャリアでは日原知己社会・援護局長(89年入省)、医系技官では森光敬子医政局長(92年入省)と大坪寛子健康・生活衛生局長(08年入省)がおり、旧労働系キャリアでは田中佐智子雇用環境・均等局長(91年入省)と堀井奈津子人材開発統括官(90年入省)がいる。
有望な課長級として、宮腰奏子内閣参事官や河村のり子会計管理官、佐々木菜々子労働基準局総務課長等が挙げられる。医系技官の森光、大坪両氏を除くと厚生系ポストで少ない印象は有るが、こども家庭庁に渡辺由美子長官(88年入省)や藤原朋子成育局長(89年入省)が就任している影響も有る。
女性管理職の働きぶりはどうか。中堅職員は「男性と同様、仕事が出来る人もそうでない人もいる。そこは性差による大きな違いは無い。只、幹部に女性管理職を増やそうという意識が有るので、やや疑問を持つ人事も無いではないが、年次的なバラン↘スも在るので、そこ迄違和感は無い」と明かす。
厚労省ではないが、管理職としてその仕事ぶりで高い評価を集めるのが渡辺長官だ。或る女性厚労官僚は「深夜まで庁内に居残る事が殆どなく、判断も速くて的確。仕事を任せてくれるので、仕えていてもやり易い。是非厚労省に戻ってきて欲しい」と信頼を寄せる。渡辺長官については男女関係なく、同様に評価する声が上がる。森光医政局長も評判だ。医系技官の1人は「無茶な事を言わないし、日本↖医師会だけに偏らないバランス感覚が有る」と評価する。
一方で、評判のあまり良くない女性管理職もいる。或る女性管理職は、あからさまなえこ贔屓が目に余るという。若手の女性官僚は「仕事はテキパキとこなして文句の付け様が無いものの、レクなどでイケメンの若い男性官僚には甘く、若手の女性官僚には厳しい印象が有る。男性官僚でもソリが合わないと追い込み、メンタルを病んだ職員もいる程だ」と漏らす。課長級の男性官僚は別の女性管理職について「マイクロマネジメントが酷く、何でもレクをしたがる。責任者なのでドンと構えていて欲しい」と注文を付ける。管理職の適格性に欠ける人物が登用されるのは、男性に限った話ではない様だ。
只、旧厚生系では渡辺、藤原、日原3氏に次ぐ年次の女性職員が少ない事から、登用のペースが落ちるかも知れない。とはいえ、現在、厚労省のキャリア職員に於ける採用割合の半数は女性が占める為、一時的なペースは落ちるが、長期的に見て増加傾向にあるのは間違いない。
LEAVE A REPLY