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未来の会

国の安全保障を政策の核に据えて
「当たり前の先進国」の実現目指す

国の安全保障を政策の核に据えて「当たり前の先進国」の実現目指す

東 国幹(あずま・くによし)1968年北海道生まれ。90年東海大学法学部卒業後、衆議院議員秘書を経て95年旭川市議会議員。99年より北海道議会議員を5期務め、2021年衆議院議員に北海道6区で初当選。24年10月、2度目の当選を果たし財務政務官に就任。

昨年10月に行われた衆議院選挙は、与党の過半数割れという結果に終わり、自民・公明両党は難しい政権運営を迫られる事になった。自民党派閥の政治資金収支報告書への不記載問題や、自民の選挙戦略の誤り、石破茂首相の発言のブレ等幾つか敗因は挙げられるが、いずれにせよ与党議員にとっては厳しい選挙だった。そうした逆風の中、「日本の医療の未来を考える会」の国会議員団メンバーの東国幹氏は北海道6区の激戦を制して、2回目の当選を果たした。第2次石破内閣では財務大臣政務官を務める事が決まった東氏に、地元北海道の成長戦略や、今後の医療行政、自身の政治信条等について話を聞いた。


—第50回の衆院選挙を振り返って如何ですか。

 私の選挙区の北海道6区は都市部と過疎地が混在していますが、やはり都市部を中心に、我が党の政治資金収支報告書の不記載問題に対して厳しい声が有りました。只、大都市とは違って、社会インフラの整備が遅れている部分が有り、交通網の整備や農業を進める上での環境整備、医師の不在といった課題の解決を求める声も大きかった。政権与党に期待する声も頂き、厳しい指摘と期待との両方を感じた選挙でした。そんな中、地域毎に後援会組織を作って頂き、多くの有権者の支えが最後に功を奏して、お陰様で再選を果たす事が出来ました。

——激しい選挙戦でした。

 同じ選挙区から出馬した西川将人氏とは、旭川市長選を含めて3回目の戦いで、市長選では私が敗れています。今回も、選挙前から地元で精力的に政治活動をされている事は耳にしていましたから、私達の陣営も厳しい選挙戦になると予想していました。互いに年齢も近く、政治経験も長い。彼も今回、比例代表で当選を果たし、地元では「東西対決」等と言われていますが、これからも党派を超えて切磋琢磨して行きたいと思います。

——選挙後の組閣で財務大臣政務官に就任しました。

 財務省を担当するのは初めてですが、全力で勉強させて頂きたいと思っています。財務省はよく「財政規律に縛られた伏魔殿」といった言われ方もします。実際のところはどうなのか、新たに立ち入る身として官房長や総括審議官に聞いてみましたが、「そう言われているのは事実で、省の性格上、無理もないかも知れない」とした上で、「成長戦略としての財政出動は必要だと考えている」との事でした。財政規律だけでは立ち行かない事も有ります。政策の緩急も踏まえた柔軟な対応が必要だと思います。

——ご自身は財政健全化について、どう考えていらっしゃいますか。

 私は、政府の最重要方針は経済と食料、防衛の3つの安全保障だと思っています。財政もこれ迄の紋切り型の予算編成ではなく、この3つの安全保障を実現する為の枠組みを考えなければならない。従来の考え方を変える必要も有ると思います。それには政治判断が必要で、何れは、どの様に決着を図るのかが問われる局面が訪れると思います。日本人は、これ迄やって来た事の方針を変えて、異なった方向へ舵を切るのは苦手だと言われていますが、時代の要請に合った財政出動を考えて行かなければならないと思います。

——成長戦略については、如何ですか。

 北海道を例に挙げれば、次世代半導体の国産化を目指してラピダスが北海道・千歳への進出を決めましたが、こうした国際的な競争を勝ち抜いて行ける分野への支援は重要です。成長が期待出来る分野を財務省が応援するのも、今後の国の在り方を考えれば当然の事だと思います。

食料の安全保障に欠かせない北海道

——ラピダスの誘致成功は、北海道にとっても大きな出来事でした。

 ラピダスの東哲郎会長に、北海道を選んだ理由をお伺いした事が有りますが、「広大な土地と豊富な水資源と電力」だと仰っていました。現状、北海道の電力供給は厳しいのですが、再生可能エネルギー資源が豊富である利点を最大限に活かし、雇用の創出も含め、持続可能な産業として定着する事を期待しています。

——北海道としても絶好の機会を活かす必要が有る。

 一番の課題は人材の確保です。最先端の半導体技術に精通したプロフェッショナルは、日本国内にそれ程多くなく、海外から優秀な人材をリクルートしなければなりません。東会長は、その為に住環境も意識したと言っていました。欧米の人は、働く時に住環境を重視する。暮らし易さや休暇の過ごし方も含めて、北海道が選ばれた事は光栄に思います。

——今後の北海道の成長については、どの様に進めるべきだとお考えですか。

 北海道は、東京や大阪の経済を真似る必要は無い。北海道らしい成長戦略は、食料安全保障に求めるべきだと思っています。日本の食料自給率38%というのはお粗末な数字で、食料の6割以上を外国に頼っている現実は、国民の生命の蛇口を握られているのと同じです。そうした状況を解消する為に北海道が果たす役割は大きい。北海道の食料自給率は200%です。北海道が持つ特性を伸ばす為には、交通網の整備や人材の確保が必要です。そして、人材確保には医療機関や教育機関の充実を図り、下水道等を整備する事も欠かせません。食料生産の増強を政策の核にして、社会基盤の整備に向けた各政策を展開する地域振興策を目指すべきだと思います。

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