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第87回 厚労省人事ウォッチング
衆院選で与党厚労系ホープ、相次いで落選

第87回 厚労省人事ウォッチング衆院選で与党厚労系ホープ、相次いで落選

 昨秋の衆院選では、次世代を担う与党の厚生労働畑の議員が相次いで落選の憂き目に遭った。厚労大臣候補と目された橋本岳氏や公明党のホープ伊佐進一氏らが挙げられる。厚労行政を長年に渡って仕切る加藤勝信財務大臣と田村憲久元厚労大臣の後継作りの必要性が叫ばれて久しいが、今回の衆院選で中堅どころを失い、その前途は多難と言える。

 厚労省内で驚きの声が上がったのが、橋本岳氏の落選だ。2005年の衆院選で初当選を果たした橋本氏は1度の落選を挟み、当選は5回を数えていた。厚労政務官と2度の厚労副大臣に加え、党厚労部会長や衆院厚労委員長、同与党筆頭理事等、厚労関連の登竜門とされるポストを相次いで歴任した。医療や介護、労働だけでなく、福祉分野にも目配せが出来、「厚労分野はオールマイティーに詳しく、厚労大臣を何時務めてもおかしくなかった」(大手紙記者)との声が上がっていた。自民党総裁選では加藤財務大臣の陣営幹部として奔走していた。

 しかし、衆院岡山4区の長年のライバル、立憲民主党の柚木道義衆院議員に敗れ、議席を確保出来なかった。選挙期間以外でも地元に張り付いていた柚木氏に比べ、地元での活動量が劣っていた事等が影響したと見られる。関係者は「全国的に厳しい選挙だった事は確かだが、選挙区で勝ち上がっている候補者はいる。実力が無かった。それだけの事」と溢した。

 自民党では、衆院大阪7区を地盤とする渡嘉敷奈緒美氏の復活当選も期待されたが、21年秋に実施された衆院選の雪辱を果たす事は出来なかった。薬剤師資格を持つ渡嘉敷氏は当選4回で、厚労副大臣や厚労政務官、党厚労部会長、衆院厚労委員長等を務めた。大手紙記者は「自民党の情勢調査では維新候補と五分の戦いをしていたが、終盤の2000︎万

円問題で離された印象だ」と明かす。同じ薬剤師では衆院神奈川1区で戦ったベテラン・松本純元国家公安委員長も落選した。

 安倍派の裏金問題に泣いたのが衆院新潟5区から出馬した高鳥修一氏だ。安倍晋三元首相の側近で厚労政務官や党厚労部会長、衆院厚労委員長等を歴任し、障害福祉がライフワークの1つだった。常に激戦を繰り広げている高鳥氏だが2000万円問題

で終盤情勢が変わり、立憲の梅谷守氏に惜敗し︎た。 公明党でも落選が相次いだ。厚労副大臣や党厚労部会長、財務政務官等を歴任した伊佐進一氏が衆院大阪6区で敗れ、5回目の当選を飾れなかった。桝屋敬悟氏や高木美智代氏らベテラン厚労族の引退後、厚労分野で活躍していただけに、厚労省内からも残念がる声が漏れた。参議院議員からの鞍替えを狙った山本香苗氏も落選。厚労副大臣や党政調会長代理、参院副会長等を務め、困窮者支援や年金制度に詳しかった為、或る厚労省幹部は「公明党で今議論している年金制度改革の根回し先が無い」と溢す。

 何とか当選を果たしたものの、支援企業の従業員を無断で党員登録していたとして、自民党の田畑裕明衆院議員は釈明に追われている。田畑氏も総務副大臣や党厚労部会長を経験し、労働分野に詳しい数少ない議員の1人だ。自身の疑惑が晴れない限りは要職に就く事は難しい。

 次世代を担うとされたホープ達だったが、いずれも厳しい状況に立たされている。多くが再起を図ると見られるが、再び厚労行政を担えるか。

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