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未来の会

最大手治験会社EPSの悪行④

最大手治験会社EPSの悪行④
厳浩氏に証券取引等監視委員会からの任意の事情聴取

EPSホールディングス(以下、EPS)が何故、上場廃止をしたのか? EPSのオーナーであり、在日の中国人経済界で「ドン」と言われる厳浩氏が何故、証券取引等監視委員会(以下、SEC)から任意での取り調べを受けているのか? 何故、EPSの親会社であり、厳氏の財産管理会社である有限会社Y&Gの三菱UFJ銀行の口座が東京地方裁判所から差し押えられたのか? 何故、EPSに多大な貢献をした幹部らが総退陣し、地庭俊博氏(仮名)や北塚淳一氏(仮名)といった妙な人物が実権を掌握しているのか? 何故、厳氏の周辺に、日本で経営破綻した中国人ビジネスマンが列をなすのか? 何故、EPSや厳氏の周辺には金に飢えた弁護士事務所が参集しているのか? 何故、EPSや厳氏周辺で妙な出来事が山積するのか? 答えは1つだ。そこにエリートの仮面を被り、その裏で清濁合せ飲む厳氏がいるからに違いない。

EPSが上場廃止を決断した理由は不明だとされている。日本の治験業界で覇権を握り、母国・中国に錦を飾る。そんなタイミングでの上場廃止は、多くの憶測を生んだ。2021年のIR発表を社内で信じる者はいない。上場廃止に向けた幹部会議の内部資料(22年4月28日)には「株価を意識しない改革を実行」と書かれている。上場が事業の妨げになる為株価を気にしない非上場の道を選択するとするが、真相は違う。上場廃止を決断した理由は、17年の中国政府の発表が背景に在る。

中国政府は17年に日米欧が策定する品質管理基準を決定する国際組織に加入し、新薬の品質管理や特許に関する方針を日米欧と統一すると発表した。中国が日米欧と同じ土俵に乗る事を決めた画期的な出来事だ。続けて中国政府は同年に「海外臨床試験データを受け入れる基本原則」や「審査承認制度改革の深化と医薬品医療機器イノベーション推奨に関する意見」を打ち出し、「申請者は海外臨床試験データの信憑性、安全性、正確性と追跡可能性を確保しなければならない」と強調。この中国政府の発表は、日本では日本経済新聞や医薬品業界メディアで小さく報じられただけで、この趣旨は中国政府による外資の呼び込みだと書かれていた。

だが、治験関係者の間では、その趣旨は外貨の獲得ではなく、日本国内で蓄積したEPSの治験データを中国で堂々と活用する事を宣言した内容だと捉えられている。この発表を誰よりも待ち望んでいたのが厳氏だ。

以前からEPS社内では日本での治験データが中国に送られているのではないかと、そのきな臭さが囁かれていた。01年、厳氏が医薬品業務を行うEPS益新集団を中国に設立している事も疑われる要因だ。EPS益新集団は創立10年で巨大な益新ビルを建設し急成長を遂げた。そして17年の中国政府のあの発表だ。この直前の16年10月には、EPSと株式会社スズケンが資本業務提携を発表し、スズケンはEPS益新にも出資した。スズケンがこの業務提携に乗った理由は、この利権を独り占めしたいと考えたからなのか? 日本の最大手治験会社がこのまま野放図で良い筈はない。今後も徹底的な改革とチェック機能が必要だ。

中国人ビジネスマンの雄と言われた厳氏についての弊誌の連載記事に多くの中国人ビジネスマンが憤りを示す。「真っ当な中国人ビジネスマンにとって実に迷惑な話だ」と怒る声も多い。厳氏の周辺には金に困った中国人や、お金好きの弁護士達が集まり、EPSの資金がその取り巻きに流れているという構図が思い浮かぶ。厳氏の周辺には多くの有象無象が蠢き、取り巻きには前述の御用聞き弁護士達が徘徊する。徘徊弁護士には弁護士懲戒請求処分が良く似合う。

現在、実質CEOに就いた地庭氏については、東京銀行時代からセクハラやパワハラ問題が過去にも報じられているが、更に、公私混同経営を続けているとの内部告発が有った。EPSグループは7000名を超える社員を抱え、社員の入れ替えも激しく、人材派遣会社に人材確保を依存しているが、その1つの人材会社に何と幹部の地庭氏の息子を入社させ、その会社を優遇しているという。ノブレス・オブリージュの欠片も無い。同様に幹部の北塚氏も、自身の会社をEPSに売却しEPSグループの子会社の代表になったが、何故か資本金3億円のシルバー会社を設立させ、あっと言う間に資本金を食い潰した。EPSは医療関連会社である某上場会社からも資本金1億円を出資させておきながら、空っぽになった説明責任を果たしていない。その後、その経費は「北塚氏の愛人へ注ぎ込んだとEPSの社内審査で認定された」とEPS関係者は語る。この理由が振るっている。その後も女好きは変わらず、現在も池袋のマンションをスペイン人の愛人との生活拠点にする。愛人がスペインに一時帰国する時に日本人女性を連れ込んで、騒動を起こしているのは身から出た錆か。

治験データ流出疑惑と経営幹部の「公私混同」

誌10月号でも書いたが、どっこい、大層な仕事も無い中で、年間2〜3億円を交際費を経費計上し、業務上横領に当たると旧幹部らから指摘された事を逆恨みし、上場廃止になった事を好機とし、地庭氏と組んで当時の幹部3人を追い出し、厳氏の首根っこを押さえた。EPSの幹部は弊誌の取材に対し「この様にEPSの子会社代表の女遊びの経費も治験料に上乗せしているが、支払う製薬会社が気の毒だ」と話す。

又、11月号で、EPSの親会社Y&Gでは、厳氏が借主となる2億円の公正証書が有ると書いたが、続報が出て来た。Y&G代表の厳氏が借主となる7700万円の公正証書が見つかり、貸主が東京地方裁判所に提出し7700万円の債権回収を計った。東京地方裁判所はその訴えを受け、厳氏の三菱UFJ銀行の口座を差し押える事態に発展、24年10月3日、貸主に強制返済された。

この事件がTOBの最中に起きていたならば、上場廃止は成立したのか? この事実に三菱UFJ銀行は仰天し、借り入れの公正証書の存在にも驚愕したと言う。それはそうだろう。550億円という巨額のTOB資金を貸し付けたにも関わらず、公正証書の存在自体も知らされていなかった三菱UFJ銀行は面子丸潰れだ。EPSから見て、同行が重要な存在では無いと言う証左だ。

SECのEPS上場廃止に関係するインサイダー取引の調査は現在も進んでおり、この何カ月の間に、複数のEPS幹部らが複数回に亘り事情聴取を受けている。当然ながらSECの狙いはトップである厳氏の逮捕だ。厳氏も複数回の任意での取り調べを受け「何時、何処で、誰にTOB情報を伝えたのか」と厳しく追求されている。今回のインサイダー情報で誰が株式を購入し、誰が利益を得たのか? そんな中、最近、EPS社内で密かな懲罰人事が行われた。中国人社員(現在は日本に帰化)がインサイダー取引を認めて懲戒解雇された。その理由は「EPS入社時の条件より給与が低かったから金が欲しかった」。これと全く同じ言葉を聞いた。EPSに会社を買収された北塚氏は、「会社が買収された後、厳氏が約束を反故にし、正当な契約金が受け取れなかった事からの仕返しだ」と漏らしている。

EPSグループでは、今も不祥事が続き、上場廃止は結果的に正しい判断だったのかも知れない。企業体質の改革と信頼回復は急務だ。

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