子供政策の司令塔となるべく4月1日に発足した「こども家庭庁」。厚生労働省からの出向者を多く集める等「厚労色」が強めだ。だが、設立準備室に派遣された厚労省出身の幹部職員2人が、発足直前に「更迭」された事はあまり知られていない。その呆れた実態を明らかにする。
2人はいずれも審議官クラスの男性幹部。「更迭」はされているものの、懲戒処分は下されておらず、本人の名誉の為匿名とする。
先ず1人目の幹部が何をしでかしたかを紹介する前に、特定されない範囲で経歴を明らかにしたい。仮にこの幹部をA氏と呼ぶ事にする。A氏は健康局や医薬・生活衛生局等に勤務した事が有るものの、本人の希望で子供分野の担当が長い事で有名だった。特に、児童虐待の防止や家庭的擁護の普及に熱心な事で知られる。
一方で、A氏は女性ばかりを集めた飲み会を開く事が多かった。同僚や部下の女性官僚や取材に訪れたマスコミ関係者に止まらず、児童虐待の元被害者や支援者に迄及んでいたという。大手紙記者は「とにかく女性を集めた飲み会をやりたがる事で有名だった。男性記者はよほどじゃないと参加出来なかった。飲み会でハラスメントの様な行為は無かった様だが、とにかく誘いがしつこい。更に、プレゼントを渡す等誤解を招き兼ねない行為が多かった」と明かす。
こうした行為はこども家庭庁の設立準備室に異動した後も変わらなかった。こうしたA氏の行状は、当事者を含め問題視した関係者からの「告発」で明るみに出た。厚労省に異動となったのは発足迄2カ月を切った時期で、政府関係者は「あまりの自覚↘の無さに愕然とした」と吐き捨てる。A氏には公表が求められる懲戒処分に至らないレベルの処分が下されているという。
A氏程ではないが、2人目のB氏も時代錯誤の振る舞いが自らの更迭を招いた。B氏は医政局や老健局勤務が長く、永田町の根回しも巧みで、将来を期待された幹部の1人だった。しかし、厚労省時代から部下に対しては「激詰めをして来るパワハラ気質」(中堅職員)として知られ、中堅や若手職員か↖ら恐れられる存在だった。
こうした周囲の評価を本人は知ってか知らずか、設立準備室でも同じ「ノリ」で職員に接し、高圧的な態度で会議で発言した事が反感を買い、部下からの苦情が相次いだという。本人は不本意ながらも異動させられたと思い込んでおり、こども家庭庁からの厚労省の異動先は「部下の居ないポジション」(厚労省幹部)。閑職に追い込まれた形となった。
厚労省ではこれ迄も幹部がセクハラやパワハラで更迭される事が度々有った。厳しく懲戒処分され、厚労省を追われた姿も見受けられた。マスコミ報道等でも糾弾され、批判を浴びて来た筈にも拘らず、こうした体質は中々改善されていない。
今回も発足直前の忙しい最中に厚労省の出向者から足を引っ張られる形になったこども家庭庁の職員はたまったものではないだろう。厚労省の一部職員に今だに根付く「パワハラ」や「セクハラ」体質が影響したのだが、こども家庭庁にはこうした悪弊を振り払い、旧態依然とした体質からは一線を画す組織であって欲しい。
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