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大幸薬品の不名誉な紺綬褒章の返納

大幸薬品の不名誉な紺綬褒章の返納
一方で消費者庁に楯突き、一方で紺綬褒章を受章する厚顔ぶり

大幸薬品の提訴好きは法曹界でも話題になる程だ。その大幸薬品からの提訴に消費者庁が激怒している様だ。

事の始まりは、2014年3月、消費者庁が二酸化塩素を利用した空間除菌を標榜する商品販売会社17社へ不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に基づく措置命令を発した事だ。裏付ける合理的な根拠も無く、あたかも効果が出るかの様な表示はダメと言うものだ。コンプライアンスが浸透しているかと思いきや措置命令を受けた企業が17社も居た事に驚く。この時、大幸薬品は次の様なコメントを発表している。

「この度、弊社は景品表示法の規定に基づく措置命令に従い、一般消費者の誤認を排除するために、次のとおりお知らせいたします」とクレベリン等の名前を挙げ、事情説明をしている。そして大幸薬品は、この指摘は不当だと消費者庁を提訴した。これには医薬品業界も仰天、同時に業界全体にとってマイナスになる事を危惧した。この訴訟は東京高裁で大幸薬品の敗訴が決定した。消費者庁から下された措置命令に対し、根拠の無い反論を展開し提訴した。大幸薬品の世の中を舐める企業風土が見える様だ。

経営面でも株主軽視の姿勢が見える。20年にパンデミックとなったコロナでクレベリン関連商品の需要が急増した事を受け、23億円の投資を行い、これ迄の10倍の製造能力を要する大阪・茨木工場を新設した。10倍の製造能力を必要とする需要が有るのか、その根拠を持っていたのか、大いに疑問だが、僅か5カ月後には需要が激減し、操業停止となっている。過去に柴田高社長はメディアの取材の中で「今後、同じ轍は踏みたくない」と語っていたが、同じ過ちを繰り返している。株主軽視、素人経営と言われても反論の余地は無い。そんな経営者が経営をすれば、21年12月期の決算での95億円超の巨額損失計上や翌年12月期の決算の約49億の損失計上も当然かも知れない。コロナ下で需要が有るにも拘らずだ。株主の怒りは容易に理解出来る。この損失は22年にクレベリン6製品に対して再び発せられた消費者庁からの景表法に基づく措置命令の影響は大きい。14年の措置命令の時に真摯に反省をし、対応していれば、コロナ下に於ける特需を謳歌出来た筈だ。大幸薬品の経営感覚が恐ろしいのは販売激減で在庫の山となった景表法に触れる「クレベリン」を堂々と大阪府や山形県、全国の病院等に大量に寄付をした事だ。厚顔無恥そのものだ。一部ではこの寄付行為は在庫処理目的だと言われたが、大幸薬品は堂々と社会貢献だとリリースしている。その社会貢献が実を結ぶ。何と21年4月に日本政府から紺綬褒章を授与された。自慢気に賞状を掲げる柴田高・社長の写真付きのコメントを配信し、その中で「『世界のお客様に健康という大きな幸せを提供』する企業として、社会に貢献してまいります」と結んでいる。笑止千万とはこの事か。この話には落ちが有った。当然ながらこの受章には多くの抗議の声が上がり、その声を無視出来なかったのか、何と大幸薬品はひっそりと紺綬褒章を自主返還していた。弁護士ドットコムが返納の情報を発信した為、大幸薬品は「返上の件に関しては検討した結果、幣社の判断で自主返納をさせて戴きました」と言うが、自主返納の言葉を信じる者は居ないだろう。企業としては極めて不名誉な話だ。身から出た錆の言葉がよく似合う会社だ。

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