日本脳炎は、コガタアカイエカが媒介するウイルス感染症で、4類感染症に分類されている。4類感染症とは、1類〜3類までの感染症以外で、動物を介する感染症である。
日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルスを培養で増やしてホルマリンで不活化した「不活化ワクチン」である。定期接種のスケジュールは、1期と2期があり、10歳までに2期を済ませることになっている。しかし、その必要性が疑われて久しい。薬のチェック107号*で、最新の情報に基づいて再検討したので、概略を紹介する。
大部分の人は感染しても発病しない
1948年から67年頃までは年間1000〜数千人の日本脳炎の患者が報告されていたが、93年頃からは発病者は10人以下となり、その後は10人以下で推移している。96年以降2021年までの26年間で日本脳炎による死亡者はすべて60歳以上であり、小児を含め、0〜59歳の死亡者はない。
小児の日本脳炎発病者は1999年から2021年までの23年間で12人であり、2年に1人という状態が続いている。
日本脳炎ワクチンを接種していない小児が、どの年齢でも10%程度いて、蚊に刺されて成人するまでに70〜80%が感染する。それにも拘わらず、発病者は上記のように少ない。感染しても日本脳炎を発病する人は10〜20万人に1人程度しかいないのである。
ワクチン中止しても発病者は増えず
03年に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が6人報告され、04年に接種した女子中学生が、人工呼吸器が必要な重症ADEMとなり、ワクチンとの関連が認められて05年6月から約4年間実質中止状態になった。しかし、発病者数や死亡者数は増えず、むしろ、ワクチンによる害が極端に減少した。
再開後も被害が増加
ADEMが起こる原因としてマウスの脳を使う製法が疑われ、培養細胞(アフリカミドリザルの腎臓由来のVero細胞)を利用した製法の新ワクチンが09年6月に販売された。しかしその後も、ワクチン接種の害は減らないどころか、むしろ増えている傾向すら見られている。
日本脳炎死亡0/26年、ワクチン死亡8人/11年
12年から22年までの11年間でADEMによる死亡例を含め、日本脳炎ワクチン接種後短期間に8人の死亡例が報告されている。死亡時期不明を除く7人は7日以内の死亡である。
13年から22年の9.5年間に、重篤な害反応(副反応)が合計400人が報告された。年平均42人である。うち、05年の勧奨差し控えの原因となった急性散在性脳脊髄炎(ADEM)や、脳炎・脳症、視神経脊髄炎、横断性脊髄炎、脊髄空洞症、多発性硬化症、小脳性運動失調症などの中枢性の神経障害、あるいはギラン・バレー症候群のような末梢性神経障害などを含め、重症神経障害が118人(年平均12.4人)、けいれんを含めると205人(年平均22人)報告されていた。以前のけいれんと脳症を合わせた年間12人程度よりも多くなった。回復や後遺症例の報告は40人(年平均4人)に上る。
なお、脳症状が回復した例がADEMとされることが多く、後遺障害を伴う脳障害例は、むしろ、脳炎・脳症とされる例が多い。
結論
今や小児は、日本脳炎ウイルスによる脳炎にはほとんどならないが、日本脳炎ワクチンによって多数が脳炎・脳症を起こして死亡し、後遺症を抱える事態になっている。利益よりも害がはるかに多いため、日本脳炎ワクチンは中止すべきである。
参考文献
*薬のチェック2023:23 (107):52-55.
https://medcheckjp.org
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