SHUCHU PUBLISHING

病院経営者のための会員制情報紙/集中出版株式会社

未来の会

未確認情報 ALS事件、医師免許不正取得が〝引き金〟か

未確認情報 ALS事件、医師免許不正取得が〝引き金〟か
ALS事件、医師免許不正取得が〝引き金〟か

 難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者への嘱託殺人罪に問われた元医師の男が、一連の犯行の前に起こしたとされる実父(当時77歳)殺害の罪で有罪判決を受けた。元医師は判決を不服として、大阪高裁に控訴したが、一審の法廷で明らかになったのは、元医師の男と共犯の医師との間の〝歪んだ関係〟だった。

 2019年に、ALSを患っていた京都市の女性から依頼を受けて殺害したとして、嘱託殺人の罪で起訴された元医師の山本直樹被告(45歳)。06年に東京医科歯科大を退学するも、10年に医師国家試験に合格。

 逮捕時の肩書は「医師」だったが、その後の捜査で韓国の医大を卒業したという噓の書類を厚生労働省に提出して受検資格を得ていた事が発覚し、医師免許は取り消された。

 この医師免許の不正取得に絡んだのが、嘱託殺人の共犯として起訴されている知人で医師の大久保愉一被告(44歳)だ。大久保被告は当時、厚労省の医師国家試験を担当する部署に居て、山本被告は公判で、不正な手口を「大久保被告から教わった」と証言。「医師免許を持っていて損をすることは無いから」と取得を持ち掛けられたという。

 この不正行為によって、山本被告は「秘密を共有しなければいけなくなったというか、そういう関係になった」と証言し、2人の歪な関係をにおわせた。

 以前から、寝た切り患者への医療に疑問を持ち、安楽死を認めるべきだとの考えを持っていたとされる大久保被告。

 山本被告は大久保被告と共謀して、実の母である淳子被告(78歳)=殺人罪で懲役11年の地裁判決=と共に、父親の殺害を図ったとされる。公判では、直前に殺害するのは止めようと中止を決め、実行行為には関与していないと主張したが主張は受け入れられず、一審では懲役13年の判決を受けた。

 〝本丸〟のALS患者の嘱託殺人については今後、公判が開かれる予定で、事件をどちらが主導したか等、2人の関係はここでも焦点となりそうだ。「医師免許」の代償は余りにも大きかった。

またも悪用されたタリウム、規制強化が必要?

 イラストレーターになる夢を持ち、立命館大法学部で学んでいた21歳の女性の命を奪ったのは、毒性の強い金属「タリウム」だった。

 過去にもタリウムによる殺害を企てた事件は起きているが、実際に死亡にまで至ったのは近年の事件では稀だ。

 タリウムを飲ませて殺害しようとした事件として有名なのは、2005年に静岡県で起きた当時高校1年生の女子生徒による母親の殺害未遂事件だ。この事件で少女は、母親の食事に薬局で買ったタリウムを少しずつ混ぜ、母親は一時、意識不明の重体となった。

 さらに14年には、知人の高齢女性を斧で殴って首を絞めて殺害したとして殺人容疑で逮捕された名古屋大の女子生徒(当時19歳)が高校時代、同級生と中学時代の同級生にタリウムを飲料に混ぜて飲ませる殺人未遂事件を起こしていた事が発覚。元々、ネズミを殺す際等に使用されてきたタリウムだったが、代替品の普及やこうした事件を受け、現在では一般の薬局での取り扱いはほぼ無くなっている。

 今回の事件では、タリウムを摂取させて知人の浜野日菜子さんを殺害したとして、警察は京都市左京区の不動産会社経営、宮本一希容疑者(37歳)を逮捕。タリウムの入手経路を調べている。

 毒物劇物取締法で劇物に指定され、購入者は氏名や職業、住所、購入数量を書面に記録する事が義務付けられているタリウムだが、改めて、その恐ろしさが露わになった。

 同種の事件を防ぐ為にも、入手には更なる規制を検討する必要が有るかも知れない。

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK

Return Top