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小児科医が激怒! 「スイマーバは危険」

小児科医が激怒! 「スイマーバは危険」
小児科医が激怒! 「スイマーバは危険」

 スイマーバという、赤ちゃんの浮き輪型のスポーツ知育用具が在る。幾つかの種類が在るが、このうち「首リング」として知られる首に付ける浮き輪は「0才から始める、うきわ型スポーツ知育用具」だそうで、公式サイトでは「首にうきわを付けることで、水の中での手足の動きを妨げることなく、自由な動きをサポート。赤ちゃんがぷかぷかスイスイ泳ぐ姿はとっても可愛らしく、さまざまな効果も期待されます」等と謳われている。子育て中の女性のSNSでも、お風呂でぷかぷか浮く様子が可愛いと度々話題になっている。

 ところが、このスイマーバは過去に何度も、入浴中の事故を起こし問題となった商品なのだ。2012年と14年には、消費者庁が注意喚起する事態に。日本小児科学会が昨年行った調査でも、回答した5503人中17人が浴室で浮き輪を使用して溺れかけた経験を持ち、その内9人が首浮き輪を使用していた。そこで9月、小児科医達がツイッターで「スイマーバを入浴時に使わないでほしい」と注意を呼び掛けたのだが……。

 「発売元のスイマーバジャパンがこれに逆ギレ。注意喚起は迷惑だと言わんばかりに、小児科医達に噛み付いたのです」(医療ジャーナリスト)

 同社の公式ツイッターの言い分はこうだ。「ワンオペでの良し悪し、使うと危険、溺水……ネットで極端な例ばかりでうんざりです。スイマーバを使う、使わない問わず、ひとりにしない」「スイマーバは事故・死亡が多い? 医師からの話として散見する内容ですが患者の不幸を他言する医師は本当にいるのでしょうか」(現在は削除)。事故が起きる原因は、親が子供を見ていない事だと主張し、注意喚起する医師が悪い、内容も信用ならぬ、との言い分だ。

 これに対して、小児科医達も反論した。事故は決して極端な例でない事をデータを用いて説明し、保護者がどれだけ注意していても事故は起きると説明。溺水と言うと大事だと感じるが、赤ちゃんは音も無く静かに溺れる事が有るのだと言う。

 小児科医の反論に賛同が集まると、さすがの会社側もまずいと思ったのか問題のツイートを削除。サイトにお詫びを出したが、「目を離している間に事故は発生しています。洗髪や体を洗う際に赤ちゃんを一人で浴槽に待たせるなどはおやめいただき、手の届く範囲でお使いください」と、やはり事故の原因は目を離した親の側に有るとの認識。小児科医達の怒りは今も収まらない。

麻酔科学会が激怒? 鎮静剤でダイエットの危険

 日本麻酔科学会は9月29日、全身麻酔•鎮静用薬のプロポフォール等が睡眠療法やダイエットに有効だと謳う広告について、調査を始めたと発表した。山蔭道明・理事長名で、「睡眠障害に対する効果は広く認められたものではなく、本学会は、患者の安全性を鑑みこれらの使用法は推奨いたしません」とはっきりその効用を否定した。

 「学会の会員が関わっているクリニックでこうした広告をしていたと複数の会員から学会に報告があった。プロポフォールを巡っては、東京女子医科大学病院で2014年、集中治療室で頸部濾胞性リンパ管腫の術後、人工呼吸中だった2歳の男児が導入中に死亡した事案もあり、扱いには注意が必要。気軽に使用していいようなものではない」(都内の麻酔科医)

 集中治療で使う薬剤だけに、素人が簡単に手に入れられる代物でないのが救いだが、麻酔科医管理の下であれば使って良い訳でもない。効果のはっきりしない危険な〝治療〟が闇に潜り、命に係わる事態が起きなければ良いが……。

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