Ajit Patil(アジート・パティル)AI開発技術者。IIT卒。1996年にインドSI創業、三井グループ等との提携後2011年に NTTデータへ売却。14年インド大手向け配車サービス創業、利用者3万人規模に成長。17年より現職DeepTek Inc.にてNTTデータ等大手IT企業と提携、APAC中心に進出。
—エンジニアになろうと思った切っ掛けは?
アジート 私の父が機械エンジニアだった事が動機となりました。父が機械の図面を描き、複雑な製品を設計している姿をよく見ていたのです。創造性を発揮して複雑な製品を設計出来る事に魅力を感じ、学生時代のかなり早い時期にエンジニアになろうと決意しました。
——どのようにキャリアを形成されたのですか?
アジート 私はインド工科大学(Indian Institute of Technology, IIT)カラグプル校で大学院を修了しました。インド工科大学カラグプル校はインドで最も古く、最も大きな学舎の1つです。私はインダストリアル・エンジニアリング(industrial engineering, IE)を専攻しました。IEのカリキュラムには、産業界の問題を解決する為のソフトウェアのプログラミングやアルゴリズムの作成が含まれていました。カリキュラムを通じて、IT技術の威力と、IT技術が如何に企業を変革し、企業の競争力を高めるかを実感しました。
——現在の会社を設立した切っ掛けは?
アジート 5年ほど前に私が日本に滞在していた際、当時NTTデータのグローバルCTOであった木谷強さんにお会いする事がありました。木谷さんとの会話の中で、AIを活用して放射線科のワークフローを変革するチャンスがある事を知ったのです。インドに戻ってから、AIを活用した放射線科のワークフローの変革について更に研究する事にしました。そこで放射線科医、AIの専門家、テクノロジー投資家を含む約30人の専門家にインタビューを行いました。これにより、放射線科のAIソリューションを構築するチャンスやその課題について、より深い見方をする事が出来るようになりました。私は世界的に放射線科医が大幅に不足しており、その不足が彼等の疲労や患者ケアの低下といった深刻な課題に繋がっていると気付きました。AIは精度、アクセシビリティ(利用のし易さ)、アフォーダビリティ(価格面での手の届き易さ)を変え、向上させる可能性を持っています。それ故、現在のベンチャーを思い切って始めようと思ったのです。
——NTTデータからの出資はどのように行われたのですか?
アジート NTTデータは、放射線医学の分野に深い関心を持っていました。米国では、数百の病院を顧客とする大規模な医療用画像処理事業を行っていました。 又、彼等は医療画像データに関わる膨大なデータベースを集約しており、データをどのように活用すればより大きな価値を生み出せるかを模索していたのです。現在の会社を立ち上げた後、私は木谷さんに連絡を取りました。彼は、私が作ろうとしていたビジネスとの相乗効果を感じ、私のベンチャーに投資し協力する事を決めてくれました。NTTデータの支援は創業間もない頃からのもので、非常に大きな助けとなりました。私は、NTTデータからの支援に常に感謝しています。
——TATAキャピタルからの最初の投資先と聞いています。これは会社が魅力的である事の証拠だと思うのですが、投資の経緯は?
アジート TATAグループは病院、画像診断センター、製薬会社、医療技術企業、研究機関への多額の投資を含めてヘルスケア分野に深い関心を持っています。医療用画像処理と画像診断の企業は、彼らの投資戦略の中で重要な部分です。NTTデータ・インドとの繋がりで、TATAキャピタル・ヘルスケア・ファンドのマネージング・ディレクターであるVisalakshi Chandramouli氏にコンタクトを取りました。彼女は私達のビジネスを世界に拡大する事の相乗効果と可能性を感じてくれたようです。TATAキャピタルのチームは、私達のビジネスについてより深く知る為に、徹底的な調査を実施。それが成功裏に終了した後、TATAキャピタルは私達に投資し、支援を決定しました。現在、TATAキャピタルはDeepTek社の筆頭法人株主となっています。
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