生物兵器? HIVの再来? サル痘の感染が拡大
英国で、海外渡航歴の無い患者がサル痘を発症したニュースが波紋を広げている。
ロシアのウクライナ侵攻といった世界情勢等を受け、「サル痘は生物兵器だ」と主張する者、新型コロナウイルスワクチンの副反応だ、新型コロナウイルスの亜種だ、と何でも新型コロナに結び付けるコロナ脳の者、と様々なデマが広がっている。
サル痘はサル痘ウイルスによる感染症で、頭痛や発熱、筋肉痛等の症状が出た後に、顔や体に発疹が出る。かつて世界で恐れられた天然痘の仲間で、発疹等の症状も天然痘に似ていると言われる。ただ、天然痘の致死率が約30%なのに対してサル痘は約3〜6%とされており、先進国で死亡例は報告されていない。
アフリカで多く発生しており、主な感染経路は動物との接触だ。米国では2003年、ガーナから輸入された動物を起点に、動物販売業者が飼育するプレーリードッグに感染。ペットとして販売されたプレーリードッグから47人の人への感染が確認された事例が在った。だが、人から人への感染は稀で、感染が拡大する事も無かった。
ところがである。医療担当記者より、「今年5月、英国の保健当局から世界保健機関(WHO)にサル痘の患者が出たと報告が在った。この患者はアフリカに渡航歴が有ったが、その後、この患者と関係無く海外渡航歴も無い患者が相次いで見付かった。更に、米国やオーストラリア等、アフリカ以外の20カ国で、250人を超える患者が見付かったのです」との情報が寄せられた。
感染者の中にゲイ向けのイベントに参加した人もいたことから、HIVがそうだったように、「同性愛者の病気」とのレッテルも広がった。反ワクチン派の中にはワクチンの副作用、ととんでもないデマを流す人もいるが、現段階で感染拡大の理由を断定するのは逆に危険だ。
甲状腺がん扱うTBSの報道特集に非難集中
5月21日にTBS系列で放送された「報道特集」に批判が集まっている。番組では福島の原発事故と甲状腺がんに因果関係が有ると印象付ける一方的な内容に終始し、国連組織が「事故による影響とは考えにくい」と最終的な評価を下した事に一切、触れなかったのだ。
「報道特集は、『報道のTBS』を自称する同局の看板番組の1つ。ただ、過去にも子宮頸がんワクチンの被害を訴える被害者に寄り添う一方的な番組を作る等、イデオロギー色の強い断定的な内容も目立ちます」(放送担当記者)。
番組では、金平茂紀キャスターが「それ迄の平和な日常が、ある日突然破壊されるのは今のウクライナの様な戦争だけでは無い。11年前の東電福島第一原発事故に依る放射線被曝。福島県で暮らしていた子供達がその後、甲状腺がんで苦しんでいる」等と発言。
原発事故と甲状腺がんの影響は既に科学的に否定されているにも拘わらず、「事故に依る影響と言うのは様々な証拠から見ますと、全く否定出来無い」と主張する岡山大学大学院の津田敏秀教授のインタビューまで放送したのである。
それだけでは無い。番組では今年1月、被爆が原因で甲状腺がんになったと主張し、東京電力に損害賠償を求める訴訟を起こした原告の1人を取材。将来に亘り健康不安が続く事、結婚や就職といった人生の重要局面に影響する恐れがある事等、原告の辛さを伝えるのが無意味とは言わないが、この患者は福島県立医大で、事故とがんの因果関係を否定されている。
「病気になると誰もがその理由を探したがるが、原因は1つではない。ワクチンのせい、放射能のせい、と決め付けるのは楽だが、却って治療を難しくしたり恨みの感情に囚われて日常生活に影響が出たりする」と医療担当記者。メディアの「弱者に寄りそう」姿勢は、却って当事者を苦しめる事に注意が必要だ。
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