224 千葉県がんセンター(千葉県千葉市)
充実した設備で千葉県のがん医療を牽引する
開院したのは半世紀前の1972年。その後、拡張が繰り返されて来たが、耐震上の問題や配管等の老朽化から建て替える事となり、2020年10月に地下1階、地上9階建ての新病院が開院した。旧病院は、改修して使う一部を残して取り壊される筈だったが、22年4月まで新型コロナ感染症の臨時医療施設として使われた為、現在もまだ残ったままになっている。
新病院は採光部が大きく、明るく開放感が有るのが特長だ。外来が在る2階の通路は、上部から外光が降り注ぐ構造になっている。「病院というよりエアポート風」と患者の評判は上々だ。
旧病院は341床だったが、新病院は450床。高齢化に備えて緩和ケアの病床を25床から53床に増やし、血液がんに取り組む為に無菌室も増やした。又、高度ながん医療が提供出来る様、医療機器も充実させた。手術支援ロボットは2台体制にし、泌尿器科だけでなく、他の診療科も使える様にした。放射線は、診断の為のPET-CTやAngio-CT、治療では最新のIMRTを導入。薬物療法を行うがん薬物療法センターには、多様なタイプのベッドを用意し、数も増やした。
患者の為の癒しの施設としては、「患者サロン」が設置されている。ここでは「ピア・サポーター」と呼ばれるがん体験者と話をする事が出来るし、ゆっくり本を読む事も出来る。サロン内にはがん関係の図書や一般図書3000冊余りを集めた「にとな文庫」が在る。司書もいて、図書の貸出も行っている本格的な図書室である。
もう1つ特筆すべきなのは「患者総合支援センター」である。看護師、医療ソーシャルワーカー、薬剤師等多様な職種のスタッフで構成され、患者のどんな相談にも乗ってくれる。「それについてはあちらで聞いて下さい」と言われる事無く、ワンストップで必要な支援が受けられるのが特長だ。カウンターの面談スペースが10個、個室が6室あり、プライバシーにも配慮されている。
飯笹俊彦病院長は、「がん医療は均てん化と個別化の2方向に進むと思いますが、新病院により、その体制が整ったと考えています」と語る。都道府県がん診療連携拠点病院として県のがん医療を牽引して行く使命を担い、がんゲノム医療拠点病院としてゲノム医療にも取り組んで行く。
設計・施工:(株)日建設計、フジタ・畔蒜工務店特定建設工事共同企業体
千葉県がんセンター(千葉県千葉市)
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