感染が広がり続け、終わりの見えない新型コロナウイルス感染症。エンタメ業界では、このコロナ禍で舞台やミュージカルの公開を中止する所も多く、売り上げも伸びない。又、テレビやラジオの他に動画配信サービスやSNSが普及し、若い世代のテレビ離れや多チャンネル化の過渡期とも言え、多くの作り手が制作すべきコンテンツの方向性に悩んでいる。そんな苦境のメディア・エンタメ業界で生き抜いていく術は何処に在るのか。医療分野にも詳しく、医師や文化人も多く所属するプロダクション会社「生島企画室」を経営するフリーアナウンサーの生島ヒロシ氏に聞いた。
——TBSラジオで長寿番組をされていますが、続ける秘訣は。
生島 「生島ヒロシのおはよう定食/一直線」(月〜金曜午前5時)ですね。1998年にスタートし、去年6000回目を迎えました。この4月で24年目になります。続ける秘訣は、やはり自分自身が楽しんでいる事です。90分間、面白くて仕方がない。こちらは出したい情報を発信して、リスナーの方はそれを有益に感じて下さり、スポンサーも非常に喜んで下さっているので「三方一両得」の様な形ですね。
アメリカの放送学科で学び、TBSアナウンサーに
——アナウンサーを志望した理由は? 目指したアナウンサーはいますか。
生島 僕は子供の頃は赤面症でした。学校でいきなり指名された時等、好きな女の子に注目されていると思うと真っ赤になってしまって。目立ちたいけれど、恥ずかしい。それを克服したいなと考えていました。徐々にテレビやラジオが普及してきた時代で、深夜放送等も流行って来て、テレビの世界で、自分自身は歌手にはなれないけれど、そうした人を引き立てるような仕事をやりたいなと思っていました。それからアメリカに行って、英語が分からないから、どうせなら好きな事を勉強しようっていう事で、放送学科に行きました。日本では日本大学芸術学部等一部の大学にしか無い放送学科が、アメリカはどこの学校にも有るんですよ。そこで学び、やがてプロになりたいという気持ちが益々強くなりました。日本ではアナウンサーの教育は受けていませんでしたが、経験のユニークさでTBSに拾われました。
——聴取率や視聴率は気になりますか。
生島 今はTBSラジオは聴取率は導入していないのです。が、まずはリスナーファースト。しかし、スポンサーが付かなくなると番組が終わってしまいます。それは大問題です。一方、テレビは視聴率に左右されますが、そればかり見ていると振り回されるので、気にはなるけれど余り意識しないようにしています。
——テレビ離れが進んでいます。
生島 テレビだけでなく例えばYouTubeも成功する人はごく一部ですけれども、スポンサーがYouTubeを配信したいとか、Webコマーシャルをやりたいとか言いますが、テレビやWeb、配信、ケーブルテレビ等々、トータルで見てバランスを良く取らないと、プロダクションとしては生き残れないかなと思っています。でも未だに影響力が一番大きいのは地上波のテレビである事は間違い無いです。ただ僕は71歳ですから高齢者になる訳ですけれども、僕らの世代が見たいと思える番組は減っている様な気はしますね。若者をターゲットにしても、若者にはテレビだけでなく色々な媒体が有り、地上波のテレビに昔の様に依存していない部分が有りますから、テレビがどの様なターゲットにどの様なコンテンツを作れば良いかというのは、今の制作者は本当に悩んでいると思います。最近は「黒船」のNetflixやアマゾンがやって来て、CM無しで見られるのと、比較的規制が無い。見ているととんでもない様なものが沢山有りますよね。自粛、自己規制をして来た事が、日本の映画、テレビ業界を全体的に地盤沈下させているのではないかと考える事も有ります。そんな中で配信系の凄まじいのが出て来たので、地上波テレビも配信に流す様にし出した。本当に過渡期ですよね、今は。TBSドラマ『日本沈没』はNetflixに同時配信していましたが、あれで10億円位TBSに入ったのではないかと週刊誌で見ましたけれども。そうなって来るとテレビ局にとっては新しい収入源になって来るとは思います。
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