221 医療法人真栄会 にいむら病院(鹿児島県鹿児島市)
先端医療とアートで安心感と安らぎをもたらす
新幹線最南端のターミナルである鹿児島中央駅の西側に位置する医療法人真栄会にいむら病院は、1980年の開院以来、泌尿器科疾患に特化し、地域医療に携わってきた。手術支援ロボットを巧みに操る理事長の新村友季子氏は、ダヴィンチサージカルシステム手術で全国トップクラスの症例数を誇る外科医だ。日本ロボット外科学会国内ライセンスも取得し、同資格を持つ女性医師は、泌尿器科分野ではただ1人。泌尿器科では、適切な検査と治療で改善する疾患であるにも拘わらず、恥ずかしさから診察に辿り着かずこじらせてしまうケースが女性では珍しくない。女性医師の少なさも原因の1つだ。新村氏は2014年に女性泌尿外来を創設し、自ら診察を行う。県外から来院する患者も後を絶たない。女性の健康はホルモン変動をはじめ就職、結婚、出産、育児、介護など生活の変化と密接に関わる為、個々のライフステージを理解した上で疾患の診断、治療を行う事が重要だと話す。'20年4月には大学と連携して婦人科外来と骨盤底再建センターを設立。後者では女性に多く発症し、生活に支障を来す骨盤臓器脱等を診療する。また女性ホルモンが低下する中年期以降の女性向けにGSM (閉経後尿路性器症候群)を改善するインティマレーザー治療も行い患者の生活の質の向上を促す。
新村氏は、'17年にスウェーデンへダヴィンチ手術の見学に赴いた際、院内に多くの芸術品が飾られていた事に感銘を受けたという。それ故、動線整理、機能的な診療部門へと強化・再構築する為に、病院を改修・増築する際にはアートを取り入れる事を決めていた。外観は圧迫感を軽減する円形壁面が象徴的だ。館内には自然界のモチーフが随所に点在する。増築された「モリス館」には英国人芸術家のウィリアム・モリスの壁紙が多用されている。モリス作品は通路等の共用部に限らず、病室や手術室にまで散りばめられる。質の高い先端医療の提供と、アートを取り入れる癒しの空間を見事に融合させる事で、安心感のある療養環境を提供する事はもちろん、スタッフにも配慮し、患者サービス向上や業務効率化に繋がる空間作りを目指した。
医療法人真栄会 にいむら病院
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