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未来の会

コロナ禍における「オンライン診療」の現状と課題

コロナ禍における「オンライン診療」の現状と課題

写真(左) 株式会社エムネス取締役副会長 霞クリニック院長 北村 直幸氏
写真(中) 株式会社MICIN パブリックアフェアーズ部 プロデューサー 多田 絵梨香氏
写真(右) 医療法人社団鉄医会 理事長 久住 英二氏

サービス提供企業と医療機関が現場の実情を報告

コロナ禍で注目されるオンライン診療。サービスを提供している企業とオンライン診療を行っている医療機関が11月7日、都内で開かれた「現場からの医療改革推進協議会」シンポジウムでその現状と課題を報告した。

 最初に登壇したのは、遠隔画像診断システム「LOOKREC」を4月から無償提供しているエムネス(広島市)の北村直幸・副会長。開業医が↘新型コロナの疑いがある患者の診断に迷った時、LOOKRECがあれば遠隔地の専門医と画像を共有し相談出来る。しかし、医師の反応は乏しかったという。

 オンライン診療に関する調査では「常勤で自施設の遠隔読影・治療計画が不可能」との回答が約7割に上った。「遠隔読影の体制を整えたいが、病院上層部や医療情報部の理解・協力が得られない」等の意見もあった。

 北村氏は、オンライン診療の利点として、高度診断技術をへき地に提供出来、産休育休中の医師が在宅で読影出来れば医師不足の緩和に繋がると指摘。遠隔画像診断がスタンダードになるよう模索しているという。

 次に登壇したのは、オンライン診療サービス「クロン」を提供している(東京)の多田絵梨香氏。クロンは予約から問診・受診、決済、処方箋の受け取りまでスマホを使ってオンラインで完結させる。

 オンライン診療は2018年度に保険適用されたが、利活用は進まなかった。多田氏は原因として診療報酬上の疾患の制約や点数の低さ、服薬指導の対面原則等を挙げた。今年2月以降、疾患制限が撤廃され、初診でのオンライン診療が可能になり、受診者は増加傾向にある。これまで利用出来なかった小児科、皮膚科、婦人科、精神科でも増えている。↖

 調査では医師は、患者の不要不急の外出を防ぎ、医師やスタッフの感染リスクを抑えられた事を評価。患者は9割超が診療に安心感を持ち、8割は対面以上に相談がしやすかったという。多田氏は「更なる技術革新で診療の質を高める部分にもアプローチが可能になる」と述べた。

 コロナ禍による引きこもりの影響で中高生の妊娠が増えていると言われる中、鉄医会の久住英二理事長は、首都圏に展開するナビタスクリニックで行っているアフターピルのオンライン診療について紹介した。

 まず、ベンダーごとに一長一短がある点を指摘。月額固定料金の有無、スマホやタブレットに特化しているかパソコンでも利用可能か、電子カルテとのパッケージの有無等による差異を挙げた。

 また、クレジットカード決済がメインなので、未成年者や低所得者のオンライン診療はクレジットカード登録がハードルと指摘。「LINE Payで支払う事が出来れば、中高生でも利用出来る」と述べた。

 最後に、「オンライン診療はどういう疾患が適しているのかを見極めて、より望ましい形を作っていかなければと思っている」と締めくくった。

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