204 ふじみの救急クリニック(埼玉県入間郡)
「24時間PCR検査」のクリニック
新型コロナウイルスのPCR検査を24時間実施、その数は約1万5000件に及び、約500人の陽性者を拾い上げた。PCR検査でその名は全国区になったが、本来は救急科・脳神経外科を備え24時間365日の救急体制で地域医療を支えているクリニックだ。
理事長・院長を務める鹿野晃氏が青梅市立総合病院(東京)救命救急センターの医長時代、奥多摩等の遠い所から約1時間かけて搬送された患者が病着時には助からないケースが少なくなかった。
そこで、近場の救急クリニックで初診を行い、その後の管理は救命センターで行うという構造を作り、救命率を上げたいと考えた。その救急クリニックの開業を目指していた時、クリニックの後継者を探していた脳神経外科の前院長と出会った。面談でビジョンを伝え、トントン拍子に話が進み、2018年に継承した。
当時、クリニックのある2次医療圏・入間東部地区(2市1町で計約30万人)には救命センターがなく、年間の救急車出動件数約1万件のうち3割は管外搬送になっており、救急体制が弱かった。そのような中、地元で15年間診療を行ってきた脳神経外科のクリニックだけあって、CTやMRI等の設備がそろっていた事から、救急科を新設して現在の名称で新しいスタートを切った。「すべては患者さんのために」という理念の下、重症者の救急車受け入れから、夜間・休日のコンビニ受診、生活習慣病の治療まで、幅広く対応しており、「町の保健室」のようなクリニックを目指している。
19年11月、19床の病床が認められ有床診療所になった。今年3月には2次救急医療機関に指定された。救急車は年間約1200台受け入れているが、5月には行政の救急隊と同等の能力を持つ民間救急隊を設けた。現在、高規格救急車を2台保有、救急救命士も10人いる。また、11月には新病棟が完成する予定だ。その矢先に新型コロナ禍が起きた。
一般患者と切り分けるため、4月、駐車場に発熱外来と病棟をプレハブで急遽作った。現在、1日250〜350人にPCR検査を行っている。新型コロナ感染者の入院病床や疑い患者の病床にも指定されている。鹿野理事長・院長は「フットワーク軽く何でも受け入れるのは、地域の患者ファーストのためです」と話す。
ふじみの救急クリニック
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