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未来の会

自衛隊中央病院(東京都世田谷区)

自衛隊中央病院(東京都世田谷区)
203自衛隊中央病院(東京都世田谷区)
感染症・災害・テロに備えた態勢づくり

医療機関で新型コロナウイルスの院内感染が相次ぐ中、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」等から陽性患者を累計で200人以上受け入れながら、院内感染を起こさなかった自衛隊中央病院。その防護基準や訓練の練度、防疫意識の高さが注目された。

 同病院は1956年に三宿駐屯地に開院した。診療・教育・研究等の機能を持ち、全国16カ所の自衛隊病院の中核を担っている。93年には保険医療機関の指定を受け、自衛隊員以外の診療も実施出来るようになり、地域医療にも貢献している。近年では年間約6600台の救急車を受け入れている。また、2003年に新臨床研修制度が実施されると、防衛医科大学校病院とともに管理型臨床研修病院の指定を受けた。

 旧病院の老朽化・狭隘化が進んだ事から建て替えが計画され、09年に同駐屯地の旧グランド跡に新病院として開院。同時に基幹型臨床研修病院に指定された。16年には東京都指定2次救急医療機関、17年には第1種感染症指定医療機関の指定を受け、感染症にも万全を期している。

 地上10階・地下2階建て。診療科は心臓血管外科等29科を備える。病床数は500床で、うち感染症病床は10床、ICUベッド数は8床。8室の手術室を備え、新たにPETや、医療情報システムを導入した。自衛隊の特性を生かした災害医療や防災設備も大きな特長だ。病院本館は免震構造(長周期免震システム)になっており、震度6〜7の地震を震度3〜4に減衰するとともに、震度4以下の横揺れ地震は揺れを体感出来ない程度に減衰出来る。また、災害時の停電に備え、コ・ジェネレーションシステム(CGS、熱電併給)を導入、排熱を有効利用して常時、自家発電に切り替えられる。

 屋上ヘリポートでは、大型の輸送ヘリ「CH—47」が離発着出来、担架の患者なら約20人、座った患者なら約50人を1度で運べる。エントランスにはトリアージスペースも確保している。待合やロビーでは、ベッドとして増床可能なソファーを設置するとともに壁には酸素吸入器等を収納したアウトレットを設置している。

 クルーズ船の患者のCT検査の分析結果から気付いた「サイレント肺炎」に関する報告を公表する等、情報発信も積極的に行い、他の医療機関の医療従事者との知見の共有を図っている。

自衛隊中央病院

 

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