202回 順天堂院 小児医療センター(東京都文京区)
各科横断・シームレスな小児医療を目指す
順天堂大学医学部は半世紀以上前から小児外科医療に本格的に取り組み、1968年には日本で初めて小児外科学講座を設置した。昨年10月には、医学部附属順天堂医院の小児病棟の増床(90床)に合わせ、1号館10階フロアに「小児医療センター」を開設した。
小児の疾患はその特異性から、様々な診療科を受診し、各診療科で治療を行う縦割り方式が主だった。また、近年では慢性疾患をもって成人期に移行する患児が増えている。
このような状況下、患児や家族の不便や心配を解消するため、同センターでは、小児科及び小児外科を中心に、小児を扱う外科系診療科(脳神経外科、心臓血管外科、眼科、形成外科、耳鼻咽喉・頭頸科等)及び皮膚科が緊密に連携し、高度で安全な小児医療を展開している。
また、小児専門看護師、理学療法士、臨床心理士、栄養士等も連携し、それぞれの科の知識や技術、経験等を結集して治療に当たっている。さらに、6つの附属病院のネットワークも生かし、小児期医療から成人期医療への無理のない「トランジション(移行期医療)」を実現した。
清水俊明・センター長(小児科・思春期科教授)はセンターの特徴として①小児の全ての疾患を診療出来る②特に消化器疾患の診療は都内随一③外科系が充実④周産期センターとの連携が十分に行われている——等を挙げる。
外科では、小児外科・小児泌尿生殖器外科において日本で唯一小児に「ダ・ヴィンチ」によるロボット支援手術を導入している。山髙篤行・副センター長(小児外科・小児泌尿生殖器外科教授)は「低侵襲のロボット支援手術は体力のない子どもこそ適していると言える。傷口が小さく、傷跡も目立たない事も、その後何十年と続く子どもの人生を考えた時には大切な事だと思う」と述べている。
この他、遊びや勉強のボランティアや病棟保育士、子ども療養支援士、音楽療法士等が、入院した子ども達の心配や苦痛を和らげるための活動を協力して行ったり、児童精神を専門とする医師や病棟心理士が子ども達や家族のこころの問題に配慮したサポートを行っている。
各科・各部門が協力して、1人の患児を支えていく「オール順天堂」のチーム医療を最大の理念にしているという。
順天堂院小児医療センター
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