200回 慶應義塾大学病院 新病院棟(東京都新宿区)
連携と仕事のしやすさ目指す新病院棟
慶應義塾大学は医学部が2017年に開設100年、病院は今年、開院100年を迎えた。医学部開設100年の記念事業の一環として、2018年に新病院棟が完成した。地下2階、地上11階建てで、延べ床面積は約7万5000m²、病床数は798床。
1階は救急エリアで、以前と比べて3倍の広さに拡張された。東京都災害拠点病院として災害時には医療救護活動の拠点となる。また、カフェラウンジやアメニティースペースも設けられている。
2階には患者を各診療科に導く「メディカルストリート」と「ホスピタルモール」を配置。2〜3階は外来エリア、4階はICU(集中治療室)・HCU(高度治療室)のフロアだ。5階は血管内治療を行うハイブリッド手術やロボット支援手術、バイオクリーン・ルーム等多様な機能を有した手術室を25室備えている。救急エリアからICU、手術センターへは緊急時は専用エレベーターで直接アクセス出来る。
6階の周産期エリアでは、以前は別々だった産科病棟と新生児病棟を同じフロアに配置し、産後の母乳育児がしやすい環境になった。7〜10階の病棟フロアは1フロア4病棟で構成。外側に病室やラウンジ、内側にスタッフエリアを配置して患者とスタッフの動線を分け、複数の病棟のスタッフが連携して仕事がしやすい構造にしてある。
また、スタッフエリアには教職員や学生が職種や部門の枠を超えて利用・交流出来るスタッフコア・ラウンジや多目的ルーム、カンファレンスルーム等を設置。診療の連携や医学部・看護医療学部・薬学部の連携を促し、医療人の育成や啓発を行いやすい環境を整備した。
最大の特徴は外来フロアの「クラスター診療」だ。関連する診療科が縦糸と横糸のように連携し、診療しやすい形になっている。例えば、外来は診療科ごとではなく、「1A」「2B」といったブロックに分けられ、ある時はある診療科が使い、ある時は複数の診療科が合同で使っている。また、ブロックごとに受付を設け、診療前確認から会計計算までをまとめて行う事が出来る。
北川雄光病院長(医学部外科学教授)は「セクショナリズムを排し連携する事を目指すとともに、従来から低侵襲治療の開発・普及を先導してきた病院として、今後もそうした機能は一層強化していく」と話す。
慶應義塾大学病院新病院棟
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