麻疹拡大の震源地となった
〝自然派〟新興宗教本部

　世界保健機関（ＷＨＯ）から「日本は排除状態にある」とのお墨付きをもらった麻疹（はしか）が、昨年末から三重県を中心に感染拡大した。流行の発信源となったのが、同県津市に本部がある宗教団体「ミロクコミュニティ救世神教（ＭＣ救世神教）」だ。「ホームページには、信仰によってがんやアレルギーが治ったという体験談がずらり。『病気を治すために用いる薬が、実は病気を作る原因になっているという事実（薬毒）の啓発に取り組んでいる』など〝自然派〟を自認し現代医療を否定する内容が随所にみられる、典型的な反ワクチン団体です」（社会部記者）。

　この宗教団体が２０１８年に行った研修会に麻疹患者が参加したことから、信者を中心に蔓延。３次感染者まで含めると５０人以上が感染してしまった。信仰は自由だが、信者に麻疹ワクチン未接種者が多かったことが一気に感染を広げる要因となったのだから、迷惑な話だ。

　「三重県は当初、団体内での感染にとどまっているとして宗教団体名を公表していなかった。しかし、研修会参加後に麻疹を発症した同県の１０代男性が、１月６日に大阪・京セラドームで開かれたＡＫＢ48の握手会に参加していたことが判明。不特定多数が参加する場に麻疹患者がいたことで、問題が一気に大きくなった」と同記者。その後、保健所の指導を受けたＭＣ救世神教はホームページにお詫びを掲載し、県も民間団体としていた呼称を改め宗教団体名を公表した。

　「団体名を公表することで患者が信者であると分かってしまうわけで、プライバシーの観点から県が公表に慎重になったのは分かる。ただ、医療を否定する団体が故に患者が一気に増えたわけで、〝反ワクチン〟の怖さを伝えるには公表する必要があった」と医療関係者は評価する。目下、反省の態度を見せる同団体だが、いずれサイトに「浄霊で麻疹が治った」なる体験記が載らないとも限らない。

「入試倍率低下」「助成金０」
それでも世間とずれている医学部

　女性に不利な採点をするなど医学部の不適切入試が指摘された８私立大学について、文部科学省は１８年度の私学助成金の減額を決めた。特に厳しかったのは、汚職事件で前理事長と前学長が起訴された東京医科大で、全額（２３億３９００万円）がカット。次いで悪質タックル問題も起きた日本大が３５％（９１億５５００万円）、順天堂大、昭和大、北里大、福岡大、岩手医科大、金沢医科大がいずれも２５％カットとなった。不適切入試があったかを「調査中」とした聖マリアンナ医科大は１８年度では減額されない見通しで、まさに逃げ切った格好だ。

　大学の痛手となったのは、私学助成金減額だけではない。入試の志願者数の減少だ。「特に東京医科大の受験者はかなり減ったとみられる」（大手紙記者）。救済措置によって今年の募集人数が減ったことが大きいとみられるが、志願者数が減ればレベルの高い学生の獲得が難しくなるだけでなく、他学部に比べて高い受験料収入も落ち込むことになる。

　さらに、世間を唖然とさせた出来事も起きた。「東京医科大の志願者が減少したことを取材した読売新聞の記事で、同大関係者なる人物の『ここまで敬遠されるとは正直思っていなかった』との発言が伝えられたのです」（大学関係者）。この期に及んでまだ事の重大さを分かっていないと受け取れる発言に、「やはり医学部は世間とずれている」との声は強まるばかりである。