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未来の会

第10回 健康増進法改正案取りまとめの功労者

第10回 健康増進法改正案取りまとめの功労者

 今年の通常国会で厚生労働省が提出した法案のうち、働き方改革関連法案とともに注目を集めたのが、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案だろう。昨年は厚労省と自民党が対立して提出すらできなかったためだ。法案提出へと前進したのは厳しい規制を求めた塩崎恭久前厚労相が昨年8月の内閣改造で退任したことが大きく影響したが、実務面の功労者として健康局の間隆一郎・総務課長(注・7月初旬現在)の存在が挙げられる。

 法案の焦点は、小規模飲食店に対する規制の範囲だった。塩崎氏は、喫煙ができる店舗の面積を30平方㍍以下のバーやスナックのみに限定し、飲食店業界の支援を受ける自民党内の反発に遭い、調整に失敗して法案提出を断念した。今回は自民党の要求通りに喫煙可能な飲食店の規模を客席面積100平方㍍以下に広げた。

 しかし、そのままでは受動喫煙対策の強化に繋がらないため、加藤勝信厚労相は歯止め措置を設けるよう事務方に指示を出した。そこで採用されたのが、新規出店や大手チェーンは禁煙にした今回の案だ。新たに出店する飲食店については禁煙としたため、将来的には禁煙の店舗が段々と増えていく、というのが法案の肝だ。自民党内にはたばこ業界の支援を受ける議員を中心にそれでも反発が根強かったが、粘り強く説得に励んだ。

 この案を主導したのが、間氏だ。間氏は神奈川県出身で、栄光学園高校から東京大学法学部を卒業後、1990年に旧厚生省に入省した。間氏は入省した動機について、「財務省にも入れたが、(雇用均等・児童家庭局長で退任した)香取照幸氏(現・アゼルバイジャン大使)に憧れて旧厚生省を選んだ」と周囲に語っているという。

 保険局企画課を振り出しに、老人保健福祉局や年金局、障害保険福祉部などを経て、旧民主党政権時代の玄葉光一郎・国家戦略担当相付の参事官を務めた。その後、健康局疾病対策課臓器移植対策室長に就任し、16年の臨時国会では年金課長として、粘り強く与野党に根回しして年金制度改革関連法案の成立に尽力した。

 ある厚労省幹部は「議員や関係団体への説明がうまく、政策立案能力にも長けている。身長が高く、ある週刊誌にアタッシェケースを持って議員会館を回る姿が詐欺師のようだと書かれ、本人も悦に入っていたという話もある。90年入省の中でも能力はピカイチだ」と絶賛する。

 同期入省には、老健局の北波孝総務課長や子ども家庭局の長田浩志総務課長らがそろう世代だが、与野党にも顔が利き、着実に幹部候補への道を歩む。

 ただ、能力が高いとされる反面、不遜な点もあるとの指摘も。健康局総務課長に着任した直後、塩崎氏が主導した案について、「この法案は目配せが足らず、通らなくて良かった」と周囲に漏らし、担当の正林督章健康課長との不仲説が一時、流れたことがある。

 ただ、省幹部を中心に能力を買う人は多い。省内では少子高齢社会が進んで医療費や介護費が増える2040年に向け、「ポスト一体改革」に着手する機運がにわかに盛り上がっている。こうした中、間氏は今後、社会保障分野の枢要なポストで、その手腕を発揮することになりそうだ。

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