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レスリング・伊調馨のパワハラ騒動で 浮上したあの弁護士の名前

レスリング・伊調馨のパワハラ騒動で 浮上したあの弁護士の名前
レスリング・伊調馨のパワハラ騒動で
浮上したあの弁護士の名前

 女子レスリングで五輪4連覇という偉業を成し遂げ、東京五輪に向けて去就に注目が集まる伊調馨選手(33歳)が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57歳)からパワハラを受けていたと『週刊文春』が報じた。今年1月に告発状が内閣府に提出されていたことが分かり、各社は大きく報じることとなった。

 告発状を出した弁護士として取材に応じていたのが貞友義典弁護士。医療関係者の間では「医療訴訟専門の弁護士」として有名だ。「貞友弁護士が手掛けた最近の有名な事件は、2014年に東京女子医科大学病院で鎮静剤『プロポフォール』を投与された2歳男児が死亡した事件です。ずっと患者側に立って医療訴訟を手掛けており、陣痛促進剤や医療事故を繰り返すリピーター医師の責任追及などをしてきた」(医療担当記者)。

 今回、告発状がレスリング協会やスポーツ庁でなく内閣府に提出されたことに疑問を持つ人も多かっただろうが、これも貞友弁護士らしいやり方のようだ。

 「宛先は公益認定等委員会という公益法人の公益性を判断する第三者組織。当事者への申し入れでなく、第三者に問題を広げるのが貞友弁護士の定石だ。日本相撲協会の問題で貴乃花親方が警察に捜査を求めたのを彷彿とさせる」と社会部記者。

 プロポフォール事件でも、貞友弁護士は厚生労働省に東京女子医大病院の特定機能病院の取り消しを求め、実際に承認は取り消された。遺族とともに会見するなど、マスコミを味方に付ける手腕は相当なものだ。前出の医療担当記者は「マスコミへの情報の出し方や行政機関への申し入れはお手の物。今後も貞友弁護士から効果的な時期に情報が出るのではないか」との見通しを示している。

裁量労働データ問題で
悪いのは塩崎前大臣か厚労省か

 働いた時間に関係なく賃金が支払われる「裁量労働制」を巡り、厚生労働省のずさんな調査を元に安倍晋三首相や塩崎恭久前厚労相が「裁量制の方が労働時間が短い、というデータもある」と国会答弁をしていたことが明らかになった。首相の答弁は撤回され、裁量労働制の適用拡大は働き方改革関連法案から削除されることになった。

 「問題は、どうしてこんないい加減なデータが国会答弁に使われるようになったかだ。当初はデータの改ざんや裁量労働拡大に都合の良いデータを探すよう官邸から指示が出たのでは、との憶測も飛び交った」(政治部記者)。

 だが、調べても、そんな形跡は見当たらない。調査結果が最初に示されたのは15年3月の民主党(当時)の厚生労働部門会議。この時は両方を直接比較する形ではなかったが、塩崎恭久前厚労相や今年1月の安倍首相の答弁では、両者が同条件の下で調査されたようになっていた。説明不足のまま資料に使われたものが、解釈を誤って答弁に使われた、という「極めていい加減だが、裏はない」(厚労省関係者)というのが真相のようだ。

 とはいえ、厚労省の役人が塩崎氏に持ち込まなければ、こんなことにはならなかったことも事実。「当時の担当者は点数稼ぎのつもりで報告したところ、他に同種のデータがないことから大きくなってしまった」(担当記者)となると、落とし前はどう付けるのか。短気で知られる塩崎氏に点数稼ぎをしたくなる担当者の気持ちは分かるが、「データを分析した民間業者がいい加減だったのは言うまでもない。でも、データの元になったのは労働基準監督官の事業場での聞き取り調査。それもいい加減だった」(担当記者)。様々な調査を施策に活かす厚労省の信頼失墜は免れない。

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