女性による女性のための整形外科
174 ゆりクリニック(東京都港区)
大企業の本社や官公庁施設だけでなく、教育施設や寺社施設も点在するJR田町駅周辺。駅近のビルに昨年11月に開院したゆりクリニックは、「女性のための整形外科」を特徴とし、特に骨粗しょう症の予防と治療に力を入れている。院内も女性がくつろげるようなデザインになっている。
矢吹有里院長は23年間、整形外科医として、急性期病院で骨折や捻挫などの外傷、膝や股関節の痛み、肩こりや腰痛など様々な運動器疾患に悩む患者の治療に携わってきた。中でも、閉経後の女性に多い骨粗しょう症により、背骨や大腿骨・手首の骨折などをきたし、寝たきりなどにより生活の質(QOL)を急激に悪化させたり、股関節の病気に悩んだりしている女性患者を多く診てきた。
昨年まで東京都済生会中央病院に勤めていたが、同じ女性として女性がゆっくりと自分自身の体に向き合える場所を提供したいと考えて、全国でも珍しい女性のための整形外科クリニックを開業することにした。原則は予約制だが、急な外来や男性も対応可能だ。
骨粗しょう症は50代以上の3人に1人が罹患し、潜在患者数は1280万人。20代でピークとなる骨密度(骨の強度を示す指標)は年齢とともに減っていき、閉経前後の5年間で最も低下するという。
「骨粗しょう症になると、健康寿命が短くなる他、気付かないうちに背中が丸くなってきたり、頭蓋骨の萎縮でしわやたるみが生じて老け顔になったりします。更年期以降の女性にそのことを知ってほしい」と矢吹院長。
骨粗しょう症による骨折を防ぎ、年齢を重ねても美しく元気でいられるようにと、矢吹院長が提唱しているのが「骨美容(ほねびよう)」である。骨粗しょう症検診で自分の骨密度を知った上で、自分の体をトータルでケア出来るよう、整形外科的な治療はもちろんのこと、更年期障害や美容医療などどんな小さなことでも相談出来るよう心掛けている。 矢吹院長は「骨粗しょう症や骨美容のことをもっと知って頂き、骨粗しょう症による骨折を起こす女性をゼロにしたい」と話す。
港区内には東京都済生会中央病院の他、虎の門病院や東京慈恵会医科大学附属病院、国際医療福祉大学三田病院などの大病院が多い。勤務医時代の人的ネットワークを生かし、専門的な医療が必要な患者には希望の病院を紹介するという。
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