人と自然と技術の調和した空間
173 北原リハビリテーション病院(東京都八王子市)
八王子市郊外の高台に建つ北原リハビリテーション病院。2004年に開院し、主に脳血管疾患患者にリハビリを行ってきたが、1月下旬、117床の新病棟がオープンした。
同病院を運営する医療法人社団KNIの北原茂実理事長の「病院ではなく、『ヒーリングファシリティ』(病院に代わる癒やしの場)」との考えの下、全く新しい病院となった。
新病棟は鉄筋コンクリート造り4階建てで、延べ床面積は4610㎡。外観や内装、庭園はヨーロッパのホテルを思わせる。併設された温泉棟の風呂は天然温泉で、家族で入れる家族風呂や生きた植物を多数配置した森林風呂、患者が入りやすく横になれる風呂がある。この他、疲れた体を癒やすためのエステルームや、カフェスペースも用意されている。今後は、敷地内に羊などの牧場や患者が利用出来る農園を作る予定である。
「ここでの生活は全てがリハビリ」との考えに基づき、患者が街を歩くように違う風景を見ることが出来るよう、各階ごとに異なったコンセプトデザインとなっている。
1階のテーマは「草原」で、中心部のパティオ(中庭)は緑溢れる雰囲気を演出。2階は木材、木立、葉のシルエットなどテーマの「林」を思わせるモチーフを散りばめている。3階のテーマは「森」。木や葉のモチーフを使いつつ、林とは違った色合いを織り交ぜ、深い森の雰囲気を醸し出している。 「未来のリハビリテーション」をコンセプトにする4階のテーマは「宇宙」。宇宙や宇宙船の雰囲気を表現している。
KNIは先端技術を活用して医療の質向上と業務効率化を目指す「デジタルホスピタル」の実現に力を入れている。同病院もAI(人工知能)とICT(情報通信技術)システムで管理。スマートフォンや音声によるカルテ情報入力システム、顔認証システムによる入退管理システムを導入している。KNIは、今後も病院の課題解決に向け、企業と連携し、AIやAR(拡張現実)を活用した新たなシステム開発に取り組んでいく。
KNIは、同病院を「人と自然と技術が調和」し、医療と健康に関するイノベーションを発信する空間と位置付けるとともに、超高齢化日本の社会でも安心・安全に暮らすためのシステム「八王子モデル」の拠点としていく考えだ。
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