アウトカム評価、人員配置、プレシジョン・メディシン、ICT……
2018年度は医療・介護施策の節目の年。6年に1度の診療報酬・介護報酬同時改定に、障害福祉サービス等報酬を加えたトリプル改定がある。診療報酬については、全体はマイナス改定、人件費などに充てる本体部分はプラス改定ということで決着した。
この他、18年度は第7次医療計画、第7期介護保険事業(支援)計画、第3期医療費適正化計画がスタート。また、国民健康保険の財政運営の都道府県単位化、20年度のからの本格運用を前にした医療等ID制度の段階的な運用、新専門医制度も始まる。
このような状況下、医療・ヘルスケア分野の最新の技術や先進事例を話し合う国際会議「Health 2.0 Asia−Japan 2017」(主催:メドピア)が12月5〜6日、都内で開かれ、6日には厚生労働省の鈴木康裕・医務技監が登壇。「平成30年医療・介護同時改定 toward&beyond」をテーマに講演した。
鈴木氏はまず、日本が直面している三つのチャレンジとして「人口」「財政」「技術」を挙げた。人口では、少子高齢化で労働力人口が減少する中での社会保障財源の確保の難しさや、疾病構造の変化に伴う病床機能の再編の必要性を指摘した。
財政では、法人税収がピーク時から半減する中、社会保障費を安定的に確保するには消費税に依拠するしかないと述べた。薬価引き下げで社会保障費の自然増分を削っても、子育て支援や介護の財源が膨らめば、今後、診療報酬のプラス改定も難しくなる点も示した。また、製薬業界については、08年のリーマンショック後は自動車産業を抜いて納税額でトップになるなど、「安定的な産業」とした。
技術に関しては、効率的・効果的に病気の診断と治療を行ったり、コストを削減したりするためにゲノム医療、AI(人工知能)による画像診断支援、電子カルテによる医療ビッグデータの構築・利用を進めていくと述べた。
鈴木氏は「私見」としながら、次期診療報酬・介護報酬同時改定に向けた方向性として「医療・介護サービス提供体制」「地域医療構想」「患者本位の医薬分業」について言及した。医療・介護サービス提供では看取りを含めた適切なサービス提供体制の構築、地域医療構想では病床の機能分化と連携の推進、患者本位の医薬分業では処方情報の電子化・共有化(電子お薬手帳)などを具体的に示した。
また、将来に向けた重要な事柄として①Outcomeに基づいた評価へ(人員配置や患者数などのInput/Outputに基づく評価から、在宅復帰率や改善率などのOutcomeに基づく評価へ)②Best mix professional(医師は診断し診療方針を決定、フォローアップは他の職種が行うといった、業務内容に応じた職種の適正配置)③Precision medicine(ゲノム医療の進歩で、慢性疾患も遺伝子型により重症化や合併症発現リスクに応じた疾病管理)④ICTの推進(ICTの導入・推進により、診療データを収集・一元化・分析することで、診療状況をリアルタイムで把握し、それらのデータに基づく電子診療支援システムなどの提供を通じての、診療内容の標準化)──を挙げた。
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