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未来の会

患者離れが止まらない 都内有名病院の悲鳴

患者離れが止まらない 都内有名病院の悲鳴
患者離れが止まらない
都内有名病院の悲鳴

 「特定機能病院が取り消されて以降、患者離れが止まらない。仕事は増えるのに、給料は減った。限界です」(40代看護師)。そんな悲鳴が上がるのは、2014年に2歳児が麻酔投与後に死亡する事件が起きた東京女子医科大学病院だ。「昨年度の決算は22億円の赤字。患者数は外来も入院も前年度比約5%減」(同大関係者)。窮状を見かねて、病院を去った医師や看護師も多い。

 そんな中、同大の〝売り〟の一つ、心臓血管外科の新教授に着任したのが埼玉医科大学国際医療センター教授の新浪博士氏だ。新浪剛史・サントリーホールディングス社長の弟で、「情熱大陸」などのテレビ番組で取り上げられるなど、〝名医〟との呼び声も高い。ところが、「曰く付きの人事」と同大関係者は眉をひそめる。新浪氏の教授就任は、公募でなく理事会の決定。「名医で患者を集めようという算段だろうが、雲行きが怪しい」(同大関係者)というのだ。

 プロポフォール事件の後も、抗てんかん薬の過剰投与、脳血管バイパス手術後の障害など次々に訴訟を起こされている女子医大だが、新浪氏もまた、執刀を依頼された患者の手術を別の医師に任せ、患者はその後死亡したとして遺族から損害賠償を求める訴訟を起こされたばかり。同氏を知る医師は「スーパードクターといって良いかは分からないが、腕は悪くない。ただ、外科医に多い独善型の人物で、私立医大向きではない」と語る。群馬大学医学部を卒業し、女子医大大学院に入学したという経歴にも、「医療事故のイメージが払拭出来ない2病院と新浪氏自身の訴訟がリンクしてしまう」との声も。

 「他に選択肢がない地方ならまだしも、都内の大病院は医療過誤の報道ですぐ評判を落とす」とぼやくのは、虎の門病院の関係者だ。週刊誌などが同病院の乳腺外科医が故小林麻央さんを〝誤診〟

したと伝えたことで、一気に患者が減ったという。記事の内容は事実と違うというが、広まった噂は簡単に収まらない。新病棟建設でただでさえ厳しい病院経営に、患者減が追い打ちを掛けている。

「医師の不動産投資」に落とし穴
五輪前に早くも冷え込む市場

 高収入の代名詞ともいえる医師には様々な投資に手を出す人が少なくないが、「数年前から、不動産投資の勧誘が増えてきている」と都内総合病院の中堅医師は話す。確かに、アマゾンで「医師 不動産」で検索すると、医師を対象にした不動産本が多数出て来る。

 不動産業界に詳しいコンサルタントは、「株式やFX(外国為替証拠金取引)など市場の動きが速い投資は、忙しい医師には不向き。不動産は元手がかかるが、医師は比較的借り入れが容易。賃貸用として所有し、定期的な家賃収入が得られる不動産投資なら始めやすい」と解説する。

 一方で、うまく借り手が見つからなかったり、業者の〝カモ〟となって何件も所有して失敗したりするケースも散見する。何より、「多忙ゆえ、足を運んでじっくりと物件を確認することが出来ないまま購入、後は管理会社に任せることが多いので、実際の物件の状況を分からないまま価値が下がっている例も多い」(前出のコンサルタント)というから要注意だ。

 業界関係者によると、東京五輪を前に都内の不動産、特にマンション市場は早くも冷え込んで来たという。供給過剰が要因で、今後も不動産市場は上がることはないとの見方が大勢だ。よほどの好条件でなければ、入居者を継続的に見つけるのは難しい。新築物件を何とか売り抜けたい不動産業者のうまい話には、くれぐれもご用心。

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