ジョブトレーニングで社会復帰へ
169 江東リハビリテーション病院(東京都江東区)
都営新宿線西大島駅から徒歩8分、円形にカーブしたガラス張りのデザインが印象的な7階建ての建物が見えてくる。10月1日から保険診療を開始した江東リハビリテーション病院だ。
脳血管障害や骨折手術など急性期で治療を受け、発症から1〜2カ月後の病状が安定し始めた状態を回復期というが、同病院は回復期リハビリテーションを必要とする患者を対象としている。365日体制で1日当たり3時間のリハを提供、患者は24時間手厚い看護が受けられる。
一般社団法人「巨樹の会」が運営する、関東で15番目、都内で6番目の施設だ。回復期病棟のリハ効果を判断する大きなポイントは「在宅復帰率」だが、全国平均78.3%に対し、グループ施設平均は88.9%(2016年実績)を誇る。梅北信孝院長はグループ平均を超える95%以上を目指すという。
同グループは、充実したリハスタッフ(医師や理学療法士など9職種)と最先端の機器により、リハ効果を高めている。計算上、1人のリハスタッフが患者1.5人をサポート。「1:1.5」という数・割合はリハ病棟基準を大きく上回る。
今回、グループでは初めて「ジョブトレーニングルーム」が設置された。ネジ締めのような工場での部品組み立てや、オフィスでの事務作業を想定した訓練が出来るよう機材が揃っている。ドライブシミュレーターもあるので、自動車の運転を練習出来る。ハンドルだけでなく、本物同様ブレーキやアクセルも付いている実践的なマシンだ。梅北院長は「高齢者も長く働く時代なので、単に寝たきりを防いで在宅復帰を目指すだけでなく、本格的な社会復帰をもサポート出来る施設です」と胸を張る。
屋上のリハビリテーションガーデンでは不整地の歩行訓練が出来るだけでなく、園芸エリアで趣味を兼ねたリハも可能だ。スカイツリーを一望出来る見晴らしの良さは、リハで疲れた時、患者にとって大きな癒やしになるに違いない。
これまで江東区の回復期病床は10万人当たり12.5床と全国平均の60床よりもかなり少なかったが、江東リハビリテーション病院開院で51.1床となる。そもそも区東部には大病院が少なかっただけに、地元の急性期病棟や医療関係者の期待は大きい。豊洲地域を抱える江東区は年間1万人ほど人口が増えており、同病院が担う医療機関としての役は、ますます重大だ。
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