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ちっとも「エクセレンス」でないMEJ、無策の4年間

ちっとも「エクセレンス」でないMEJ、無策の4年間
医療を巻き上る仕みか

りそば、かけそばは旬が過ぎた感もあるが、これまた「官邸主導」で華々しく始まった成長戦略の要、「医療の国際展開」の成果が芳しくない。日本医療の輸出や海外からの受診増を目指して設立された一般社団法人に多額の税金が投入されているが、設立から4年たっても大きな成果は上がっていないのだ。

 問題の法人は、経済産業省が主導し、日本の医療の国際展開の司令塔とされる「メディカルエクセレンスジャパン(MEJ)」。ホームページには2011年10月から外国人患者の受け入れを支援するインバウンド事業を促進したとあるが、今の形となったのは13年4月に日本式医療の海外輸出を本格的に手掛けるようになってからだ。

 日本病院会の元会長(現・名誉会長)の山本修三氏が理事長で、役員には医療機器メーカーをはじめとする経済界の人物が多く名を連ねる。法人を支える正会員(6月23日時点で52社)も大手商社や大手メーカーなどが中心だ。従来と異なる面子で構成されているのは、この団体が医療で点数を稼ぎたい経産省が主体となって設立されたからに他ならない。ある医療関係者は「政府文書にはMEJが数々の美辞麗句とともに度々登場するし、安倍晋三首相や菅義偉官房長官もMEJ関連のパーティーに顔を出していた」と証言する。

 少子高齢化が進む国内で〝成長〟が見込めないため海外に目を向けた格好だが、「国内は厚労省ががっちり握っているから、医療分野に何とか潜り込みたい経産省には良い足掛かりになる」(全国紙記者)というのが本音のようだ。この記者は「MEJの活動は定期的に経産省に近い日経新聞に掲載されるが、実態は怪しいものだ」と冷ややかに語る。

 もっとも、厚労省もMEJと無関係な訳ではない。ある医療関係者は「厚労省医系技官の最大勢力は慶應大医学部。慶應出身の山本氏は、慶應つながりによってMEJ理事長に選ばれたという噂がある」と語る。

 とはいえ、人事に顔を利かせても、厚労省が経産省と手を握ったわけではない。その証拠が「日本国際病院(ジャパンインターナショナルホスピタルズ)」という認証制度だ。外国人受け入れ実績など一定の条件を満たした病院を認証し海外発信を手伝うというMEJの制度だが、認証には3年ごとに50万円以上かかる。ネットが発達した現代、海外への情報発信は一医療機関でも可能だが……。東大病院や慶應病院など28医療機関が今年初めて認定を受けたものの、厚労省が支援してきた「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」とどう違うのか。国際医療の名の下に、厚労省と経産省がそれぞれ病院からカネを巻き上げる仕組みを作ったとしか考えられない。

 また、MEJのホームページでは、日本の優れた医療の代表として大阪大の澤芳樹教授の「心筋シートによる再生医療」が英語で紹介されている。しかし、ある大学病院職員は「自費で最先端の治療を受けられる富裕層は日本でなく米国で治療を受ける。MEJは海外患者受け入れのパッケージを作るというが、患者からすれば、MEJを挟まず、直接医療機関とやり取りをした方がスムーズだし安い」と指摘するのだ。エクセレンス(優秀)な医療機関を発信するよりも前に、MEJは自らがエクセレンスな仕事をする必要があろう。

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